転轍器

古き良き時代の鉄道情景

東九州

大野川橋梁

南延岡行貨物列車が鶴崎を出発する。機関車は駅を出るとすぐ15.2‰の上りで大野川橋梁に向かう。ちょうど朝日の上がる時間で逆光の中ゆっくりと長い鉄橋を渡って行った。 561レ 日豊本線鶴崎〜大在 S47(1972)/6

富士

南延岡行普通列車が4番線に入線する頃、向かいの5番線は活気と華やかさがあふれだす。ホーム中ほどで西鹿児島からの編成が停止し、牽引機DF50が7号車から離れて行く。西部引上で待機していた大分発の附属編成がED76に推されてホームにゆっくりと入ってきた。…

下郡信号場辺り

39680〔熊〕の牽く長い貨物列車が下郡信号場を通過して大分川橋梁にさしかかる。大分川は日豊本線と豊肥本線の単線並列で2本の鉄橋が架かっている。 795レ 豊肥本線下郡(信)〜大分 S47(1972)/2/11 キュウロクの下り貨物列車が着くのを待ってC58224〔大〕…

キハ503かみばと

「レイル№9」(プレスアイゼンバーン/昭和53年9月刊)に大分交通宇佐参宮線を行くキハ503“かみばと”の写真が掲載されている。記事の「筑肥線覚え書き」(谷口良忠著)でこの車輛の前身を知る。元は北九州鉄道(筑肥線の前身)ジハ21で、鉄道省買収後キハ4065…

豊肥下り一番

豊後竹田発大分行下り一番列車が朝つゆの光る線路を静かに駆けて来る。機関車は遠目からも大型デフとシールドビームで124番とわかる。この当時、線路の両側は見渡す限り水田風景が広がっていた。 721レ 豊肥本線中判田〜滝尾 S45(1970)/9

ワム90000の貨物列車

豊肥本線の貨物列車は大分と熊本、豊後竹田、三重町間各1往復が設定されていた。C58224〔大〕の牽く793レは豊後竹田からの帰りで、このスジはたまにC58重連の時もあった。滝尾駅下り方には土蔵のような農業倉庫が建っていた。貨物輸送全盛期には米が出荷さ…

熊本のキュウロク

落書きのキュウロクはテンダの石炭が山盛りになっているので給炭の後転向しているのがわかる。大分に顔を出す熊本のキュウロクはバリエーション豊富で多彩な印象があった。59670〔熊〕は、煙突は継足しのある化粧煙突、デフはバイパス弁点検窓付、ランボード…

活気ある構内

D6060〔大〕の牽く豊後森発1635レが15時16分、大分駅5番ホームにすべり込んで来た。となりの中線では17時54分発由布院行644レの編成が入換機に押されている。信号所脇6番ホームは早々と16時23分発豊後竹田行746レの牽引機C58244〔大〕が編成に連結されよう…

鮮烈デビューのキハ45系

新しいタイプの近郊形気動車発見。大分駅南口から運転所洗浄線がのぞけるわずかな隙間から朱とクリームの美しい編成が目に入る。たまたま手前の線路に留置車輛が無かったのが幸いし、日頃は客車留置で見通しがきかない場所から構内を見通すことができた。キ…

荷1043レ

構内時計は14時35分を指している。東小倉発宮崎行荷1043レは大分13:55着14:30発のダイヤで、1番線から発車したところである。撮影時は大分以南の旅客列車は全てDF50牽引であったが、DF50が検査入場の時は数が足りなくなり、宮崎・鹿児島区のC57が遠路応援…

津久見市セメント町

津久見はみかんとセメントの町。南向き斜面では柑橘が栽培され、石灰石の水晶山は白く輝き、津久見湾のセメント工場は活況を呈していた。津久見トンネルを出たこの辺りはセメント町の地名で、その名の通りセメント工場が林立する。D51が力行する上り貨物列…

日豊本線旧線

付属編成を付けた9連の小倉行3514M“ゆのか7号”が亀川を出てれんこん畑の広がる関の江海岸に沿う右カーブにさしかかる。ここから上り勾配となって国道といっしょに岬の海岸線を回る。今は無き単線時代の旧ルートで背景は亀川から見た形の良い高崎山が見える…

南行列車の印象

昭和30年代、日豊本線下り列車で津久見まで乗った記憶が鮮明に残っている。DF50の赤い機関車がまるで蒸気機関車のような唸りをあげていくつものトンネルを抜けて白い山肌の見える駅にたどり着くといった印象がある。茶色い客車の窓下には青に白ぬきの文字…

徳浦信号場

南延岡発門司港行534レが交換待ちで徳浦信号場に停まる。対向列車はキハ80系特急“日向”で、薄暮に浮き立つきれいな車体を傾けて快調に飛ばして行った。徳浦信号場から見える住宅と工場群の明かりがとても美しく津久見湾の夕景として印象に残っている。この門…

徳浦信号場

ED7623〔大〕の牽く537レ西鹿児島行 日豊本線徳浦(信) S56(1981)/6 徳浦トンネルを出ると徳浦信号場の構内となり鳥越トンネル越しに上下線が分岐する。537レは荷物・郵便3輛、旅客4輛の7輛編成で最後尾は端面に車掌室窓のあるスハフ42が締めくくってい…

徳浦信号場

徳浦信号場は臼杵〜津久見9.7kmの駅間に列車本数の増加に対応するため、昭和42年9月に開設された。臼杵湾と津久見湾を分ける半島のつけ根を15‰の勾配で超える難所でサミットの位置にこの信号場がある。深い山間のトンネルとトンネルの間に上下線が分かれ、構…

杵築 郵便・荷物輸送終焉時代

国鉄末期は鉄道趣味の対象であった貨物列車、郵便・荷物列車が大きな変革をとげた時で、国鉄分割民営化前の不穏な気配を感じていた。昭和59年2月は各駅で入換を行う車扱貨物列車が、昭和61年10月は郵便・荷物列車も相次いで廃止された。ED7683[大]はマニ44…

ホハフ32

キハ501は「しらはと」という愛称名で大分交通宇佐参宮線、国東線で活躍した。レイル№26私鉄紀行南の空、小さな列車(湯口徹著/プレス・アイゼンバーン/平成1年刊)によると「国東線のキハ30・20・501を客車化したのがホハフ30〜32」と記載されている。キハ5…

杵築 貨物輸送車扱い時代

貨物輸送盛んな頃の杵築駅構内を望遠レンズで見る。ED7627〔大〕牽引の貨物列車が入線している。本屋寄りは貨物上屋のある2線の引込線、元大分交通敷地跡は杵築オレンジセンターのヤードが広がっているのがわかる。貨車移動機が常駐して入換を行っているよ…

杵築

杵築駅を高い位置から俯瞰する。かつては何もない空中であったがこの位置に橋が架けられたためこの角度の写真が撮れることとなった。平成3年に地域高規格道路の大分空港道路が開通、その際杵築駅と八坂川を一気に跨ぐ道路橋が建設された。技術の進歩というか…

昭和44年

昭和44年発行の「鉄道ジャーナル」からこの年の新車を顧みる。○北陸本線糸魚川〜直江津、信越本線直江津〜宮内間電化開業用にEF81、○四国、九州地区に投入されるキハ65、○万国博輸送に備えた12系客車、○東北本線高速貨物列車牽引用のEF651000番台─等が挙…

キュウロクの貨物列車

豊肥本線熊本〜大分間を半日かけて走る貨物列車が1往復設定されていた。熊本機関区の9600が担当でこの日は緑ナンバーの59670〔熊〕がいつもより長い編成を牽いてやって来た。田んぼの中の小さな築堤を行く列車はワム・ワラの定番の他にセラ・トラ・タキが加…

鶴崎

鶴崎は島式ホームを挟んだ上下本線と下り本線の外側にもう1本副本線のある配線で、貨物列車待避中に上下列車の交換ができるようになっている。写真は早朝、駅東側から構内を遠望した構図で、上下本線と副本線の3線全てが列車で埋っているのがわかる。上り…

C11270のこと

大分運転所に居るはずのないC11が扇形庫に入っているのに驚いた。車両の動きを見ると、昭和46年2月直方機関区より大分運転所に転属、46年7月15日大分運転所で廃車保留車となっていた。C11270は玖珠町の三島公園に保存展示される機関車に選ばれたが、本来な…

ED744その後

前回のピンボケのED74は北陸から転じて1年目の姿で、今回発掘した写真は運用離脱1年前の偶然にも同じ機番に出会っていた。ホキを連ねた貨物列車の先頭に立つED744〔大〕はスノウプラウが付いて精悍なフロントマスクだった。北陸から九州に来たED74全6輛はこ…

重連

中学時代に撮った写真はこのようなピンボケばかりでネガ袋から永遠に引き出されないネガが多数存在する。と、決め込んでも今となってはそうもいってられない自分の尺度での貴重なコマもある。蒸機の走らない架線下の線路端には近寄ることはなかったが、この…

いなさ6号・弓張4号

Sカーブで長い編成をくねらせる長崎・佐世保行1309D“いなさ6号・弓張4号” 日豊本線東別府〜西大分 S44(1969)/6 日豊本線片道(上り)だけの長崎・佐世保行“いなさ6号・弓張4号”は博多からの“ゆのか2号”の折返し運用で、この当時475系になっていた“ゆのか”は…

べっぷ1号

“べっぷ1号”は付属編成3連だけのこの当時としては特異な急行列車であった。付属編成は小倉で博多からの基本編成7連の“つくし1号”と併結して10連で大阪へ向かう。“つくし1号”は“べっぷ1号”の後部に連結されるのでクハ455は8号車の札が入っている。 クハ455-22…

くにさき

急行“くにさき”は新幹線博多開業時の昭和50年3月に登場した14系特急車を使用した新しいタイプの夜行列車である。新幹線開業で数ある夜行列車は廃止されたが、大分“くにさき”、熊本“阿蘇”、長崎・佐世保“雲仙・西海”の3本が昭和50年代の対関西夜行として存続…

豊後森発大分行

平坦な大分平野にあって木々に囲まれたあたかも山間部のような雰囲気の、まるで分水嶺を行く構図は朝の通勤列車、豊後森発大分行623レである。平坦区間にもかかわらずD6062〔大〕は美しい化粧煙突から紫煙を上げ、ドレンをなびかせてやって来た。終着まであ…