転轍器

古き良き時代の鉄道情景

モハ484-258


 国鉄からJRになって車輛のカラーやデザインは変革の時を迎えていた。特急形の485系はクリーム4号と赤2号の塗分けと決まっていて、このカラーリングが既成概念として焼きついていた。キハ58は、スハネ16は、クハ481はあの色と自分の中では決まっている。固定観念を辞書でひくと、それが正しいと思い込んでしまって変えることのできない考えとある。485系が斬新な赤となり、列車名や車輛番号のデザインされたレタリングは強烈なインパクトがあった。国鉄時代の統一的な規定が適用されなくなる現実に「あ〜国鉄がなくなり、私鉄になってしまった…」をまざまざと思い知らされた民営化初期の感慨である。写真はモハ484側面の新鮮なレタリングに目を引かれてスナップしたものと思われる。良く見ると方向幕の文字は懐かしい国鉄書体で、JRと国鉄の香りが混在している。当時異彩を放った関門トンネルを通る特急電車も遠い日の存在となった。 モハ484-258〔本ミフ〕 H1(1989)