転轍器

古き良き時代の鉄道情景

勇払平野

 日本地図帳の北海道を広げ、46年前に自分が立った位置を確認してみた。道央に広がる石狩平野は北は石狩湾から南は苫小牧沖の太平洋にかけて緑色で示されている。当時憧れた室蘭本線千歳線が交差する場所は勇払平野と記されていた。室蘭本線を乗り越す千歳線上り線の丘陵地帯から沼ノ端方向を遠望すると限りなく続く湿原が地平線のように見え、苫小牧の臨海工業地帯が蜃気楼のように浮かぶ光景が思い出される。雄大な景色を味わう間もなく次から次へとやって来る蒸機列車にただ、ただ圧倒された場所であった。

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 C5738〔岩一〕の牽く岩見沢長万部行224レ 室蘭本線沼ノ端~遠浅 S49(1974)/9/11 

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 D51483〔滝〕の牽く上り貨物列車は釧路から根室本線を走破し、滝川、岩見沢を継走して東室蘭操車場へと向かう。外側から千歳線上り線が迫っている。 4482レ 室蘭本線沼ノ端~遠浅 S49(1974)/9/11 

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 室蘭本線の複線と千歳線下り線が並んでいる。貨物列車後方の勾配は勇払川の土手であろうか。 D511160〔岩一〕 室蘭本線沼ノ端~遠浅 S49(1974)/9/11 

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 C57135〔岩一〕牽引の室蘭発岩見沢行227レを見送る。千歳線側の築堤から望む光景は平原が広がるいかにも北海道らしい雄大な景色であった。 室蘭本線沼ノ端~遠浅 S49(1974)/9/11 

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 岩見沢発室蘭行226レ 室蘭本線沼ノ端~遠浅 S49(1974)/9/11 

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 視界に千歳線を行く長大編成が入ってきたので慌ててカメラを向ける。列車は函館発札幌行“すずらん1号”と思っていた。今になって改めて当時持参した時刻表を開くと、“すずらん1号”は6203D、運転日指定で9月10日までの運転と記載されていた。さらにグリーン車なしで運転と付記されている。写っている車輛にグリーン車は見当たらない。撮影日は9月11日でこの列車は何?という新たな疑問となった。5分後続に室蘭発札幌行“ちとせ5号”があるがこちらはグリーン車マークが付き、編成もこんなに長くないと思われる。 千歳線沼ノ端~植苗 S49(1974)/9/11 

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 室蘭本線と同じ方向に進んでいた千歳線下り線は一気に向きを変えて急勾配を登り、複線の線形になるように優雅な弧を描いて上り線へ近づこうとしている。 千歳線沼ノ端~植苗 S49(1974)/9/11  

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 地平線の向こうに蜃気楼のような工場地帯の煙突が見える。長い直線区間の複線に前方から対向列車が迫ってきた。 2460レ 室蘭本線沼ノ端~遠浅 S49(1974)/9/11

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 対向する2本の列車はかなり長い時間、ファインダーの中で追うことができた。室蘭本線ならではの光景であろうか。 6371レ 室蘭本線沼ノ端~遠浅 S49(1974)/9/11

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 貨物列車が長い直線コースの先に見えてから接近するまでかなりの時間を要している。D51467〔岩一〕がチップ積載のトラ90000が10輛連なる編成を牽いて来た。 6371レ 室蘭本線沼ノ端~遠浅 S49(1974)/9/11

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 D5159〔岩一〕の牽くとてつもなく長い貨物列車がやって来た。木材満載のチキやトキが連なっている。 8276レ 室蘭本線沼ノ端~遠浅 S49(1974)/9/11

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 C5757〔岩一〕が牽く室蘭行228レが発車待ち。C5757はこの年の夏、苗穂から岩見沢第一機関区へ移っていた。後方は岩見沢駅本屋とテルハが写っている。 岩見沢 S49(1974)/9/17