転轍器

古き良き時代の鉄道情景

夜行からまつ

 北海道撮影旅行の夜はほぼ夜行列車で過ごし、すずらん4号、大雪5号、利尻等に乗車した。帯広、池北線を訪れた際は夜行の各駅停車“からまつ”に乗車した。寝台車を連結した各駅停車は寝台券を発行する際に愛称が必要とのことで、からまつの他南紀、山陰、ながさきの各列車があった。f:id:c57115:20200505164530j:plain

 せっかく下り、上り“からまつ”に乗車したのに写真は全く撮っていない。写真がないので記憶も曖昧で残っていない。乗車した証は時刻表のチェックと駅で買った入場券と駅弁の掛け紙であろうか。ただ覚えているのは駅間28㎞の狩勝峠を越えるので何としてもこの目で確認したいという思いがあった。残念ながら上下列車とも夢の中で、まさか駅間に信号場が4つもあるなど思いもしなかった。

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 帯広5:35着。帯広特製幕の内弁当は300円で調整時間6時のスタンプが押してある。下車し広尾線の貨物列車を、構内入換のキュウロクを撮った後の朝食と思われる。

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 その日は池北線で撮影の後、“からまつ”は始発の釧路から乗りたかったので池田から“狩勝2号”の人となる。時刻表で辿ると乗継の時間はあわただしく入場券と今宵の晩ごはんを買うので精いっぱい、とても写真など撮る余裕はなかったのではないか。それと旅は最終日で財布は空っぽ、フィルムさえ買うことはできなかったと想像する。池北線のネガが北海道旅行の締めくくりであった。

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 時刻表の駅弁案内ー釧路はかにめし300円、貝の釜めし300円と記載。手に入れたのは釧路港金蓮花が描かれた幕の内弁当300円であった。19時ちょうど釧路発車、客車のボックス席を占領できたかどうかわからないが北海道最後の夜を迎えた。

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 スハ45に乗ったのか、スハフ44に乗ったのか記録も写真もないので想像をふくらませるしかない。小樽行424列車は2:25富良野着。当然夢の中ではあるが、下りホームは釧路行423列車が先に着いているはずだ。釧路行2:33発、小樽行2:39発。

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  寝台車はオハネ12だろうか、スハネ16だろうか。2輛連結ならもしかして札サウのスハネ30が付いていたかもしれない。遠いあの時代に思いを馳せるー。

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 釧路から394.9㎞、各駅停車(一部通過駅あり)の“からまつ”は札幌5:36着。終着小樽めざして6:00発車。前にも後にも10日以上の撮影旅行はこの時だけ。夢のような北海道紀行が終わった。  函館本線札幌 S49(1974)/9/19