転轍器

古き良き時代の鉄道情景

79608

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 小鳥のさえずるのどかな日、一面れんげ畑の向こうからお目当ての貨物列車はやって来た。石炭車とバラスト散布のホッパ車が編成にアクセントを添えてちょうどよい長さである。79608〔熊〕はコンプレッサーの排気音をリズミカルに鳴らして通り過ぎて行った。 795レ 豊肥本線中判田~滝尾 S45(1970)/4

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 滝尾を出て米良川にかかる16.7‰の上り勾配を静々と登る79608〔熊〕の牽く795レ。土手に向けてかなり高い築堤が築かれているのがわかる。 豊肥本線滝尾~下郡(信) S45(1970)/5

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 機体を震わせて高速で駆け抜ける機関車は大形のナンバープレートから79608〔熊〕とわかる。側道に停まるダイハツベルリーナは当時の憧れの的であった。 794レ 豊肥本線滝尾~下郡(信) S44(1969)/8

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 79608〔熊〕の特ちょうは継足しが少々長めの化粧煙突とフロントのナンバープレートが形式入を思わせるような大形サイズのプレートである。書体はフロントがゴシック体でキャブのプレートは丸味のあるローマン書体が付いたいたのが変則であった。煙室のハンドレールはきれいな弧を描き、架線注意標識は熊本区仕様で2箇所に取り付けられている。コンプレッサー排気管の規則正しい息づかいが聞こえてきそうである。 大分運転所 S44(1969)/12/31

 

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 79608〔熊〕とはたびたび会っている。この時は架線注意標識が3枚になっていた。大分運転所の転車台は下路式でガーダーに並ぶリベットの列が壮観に見える。前輪前、レール両脇のストッパーが停止した際の鎖錠装置と思われる。支柱の看板は「黒煙防止」、「連絡確認」、「転車台通行禁止」と標記されている。 大分運転所 S45(1970)/9

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 左サイドは継足しの化粧煙突と前寄りに付いた空気圧縮機まわりのにぎやかな配管が独特の風格と貫禄を示している。キャブのプレートはローマン書体であるのがわかる。架線注意標識は蒸気ドームにも付けられている。 大分運転所 S45(1970)/9