転轍器

古き良き時代の鉄道情景

京浜急行新馬場駅開業の頃

 前記事「京浜急行高架化完成新馬場駅開業記念によせて」に関連して東京都の線路端さんから旧駅の北馬場駅・南馬場駅、新馬場駅の写真をいただく。地上駅時代の高架工事の様子がよくわかり、新駅しか知らない私は思わず唸ってしまう変遷の記録であった。

f:id:c57115:20210113141506j:plain

f:id:c57115:20210113141523j:plain

 前出の記念切符2枚の裏面。北品川~青物横丁間の高架工事の概要と駅配置の変遷がわかる。以下了解いただいた線路端さんの記録を掲載する。

f:id:c57115:20210113141626j:plain

 北馬場駅運賃表 S50(1975)/8/24 撮影:東京都線路端さん

f:id:c57115:20210113141655j:plain

 北馬場駅プレハブ駅舎 S50(1975)/8/24 撮影:東京都線路端さん

f:id:c57115:20210113141736j:plain

 京浜急行電鉄では直上高架方式といって現行路線の真上に高架線を建設し、両端の取付け部のみを仮設の線路を設ける方法で建設していた。走行の電車は都営5000形で当時は京成、都営、京急の相互乗入れが行われていた。 北品川~北馬場 S50(1975)/8/24 撮影:東京都線路端さん

f:id:c57115:20210113141828j:plain

 直上高架方式は新たな用地買収が少なくて済む一方で長期の工事期間を必要とする。また直上の建設工事のため現行の駅舎やホームは写真のように仮設状態になっていた。北馬場駅仮設ホームに停車中の各停浦賀行700形 S50(1975)/8/24 撮影:東京都線路端さん

f:id:c57115:20210113141917j:plain

 上に見える高架線が新馬場駅となるホーム。この川を挟んで北馬場、南馬場となっていたとのこと。前面2枚窓、4扉の500形が行く。 S50(1975)/8/24 撮影:東京都線路端さん

f:id:c57115:20210113142003j:plain

 南馬場駅を通過する特急三崎口行1000形 S50(1975)/8/24 撮影:東京都線路端さん

f:id:c57115:20210113142044j:plain

 南馬場駅改札口 S50(1975)/8/24 撮影:東京都線路端さん

f:id:c57115:20210113142121j:plain

 先に下り線が高架化され、上り線は地平のまま S50(1975)/8/31 撮影:東京都線路端さん

f:id:c57115:20210113142201j:plain

 北馬場駅と南馬場駅を高架化によって統合し新馬場駅となるが、過渡期として「北馬場・南馬場」という駅が存在した。写真は連結駅名看板で、隣りの駅名標記から上りホーム側設置のものと思われる。 S50(1975)/8/31 撮影:東京都線路端さん

f:id:c57115:20210113142247j:plain

 新駅の長~いホームの真ん中に停車する各停1000形 S50(1975)/8/31 撮影:東京都線路端さん

f:id:c57115:20210113142322j:plain

 南馬場駅の様子。下り線を撤去しその上に仮設通路が作られている。改札口を入るとこの通路を延々と歩いて後方の階段を上がると前写真の長いホームに出る。北馬場も同様であった。一般的な駅統合では両駅の中間地点に新駅を設けるが、新馬場では駅間があまりにも短いので、旧駅の入口をそのままに駅間をまるまるホームにしたような体裁で造られている。その結果、先に下り線が一体化駅となったものの、上り線は従来通りのため、連結した駅名を一時的に設けたものと思われる。上下線とも一体化されて初めて新馬場駅となった。 S50(1975)/8/31 撮影:東京都線路端さん

f:id:c57115:20210113142433j:plain

 開業日の様子。昭和46年11月から工事にかかり昭和51年10月に完成しているので約5年の歳月を要している。 S51(1976)/10/15 撮影:東京都線路端さん

f:id:c57115:20210113142518j:plain

 新馬場駅南口は旧南馬場駅側となる。「町をあげての大行進」がすごい。新駅誕生まで5年間待った町の期待感が伝わってくる。 S51(1976)/10/15 撮影:東京都線路端さん

f:id:c57115:20210113142606j:plain

 忘れ去っていた記念切符から端を発した新馬場駅開業のことは東京都の線路端さんのおかげで地上時代から高架化工事の過程を知ることができた。単なるつぶやきからの発展は鉄道趣味冥利につきる。

   線路端のブログ

   線路端のブログ別館 京浜急行電鉄