転轍器

古き良き時代の鉄道情景

はりまや通りで見た個性的な電車たち

 高知市といの町、南国市を結ぶ路面電車はかつて土佐電気鉄道と呼ばれていた。昔日の鉄道好きはこの名称が頭に刻まれていたが、平成26(2014)年に高知県内の軌道・バス事業が統合し“とさでん交通”に再編された。電車もバスも以前の塗装から新しいカラーまで多彩な顔ぶれがはりまや通りを闊歩していた。

f:id:c57115:20210130175359j:plain

 はりまや交差点は高知駅前から桟橋通5丁目までの南北を結ぶ線と後免町から伊野まで東西に走る線が十字に交差し、全方向への渡り線はまるで高速道路のジャンクションのようで壮大な構図であった。線名はここを起点に東が後免線、西が伊野線、南が桟橋線、北が駅前線と呼ばれている。グリーンとクリームの200形213が広大な交差点を横切っている。 デンテツターミナルビル前~はりまや橋 H26(2014)/10/8

f:id:c57115:20210130175518j:plain

 前面2枚窓の渋い顔の600形630はとさでん交通カラーをまとい、かわいいロゴマークが配置されている。「ごめん」のサボがユーモラスに映る。 大橋通 H26(2014)/10/8

f:id:c57115:20210130175615j:plain

 土佐電気鉄道時代の塗装の202はZパンタ装備。屋根上の冷房装置が重そうに見える。 
高知駅前~高知橋  H26(2014)/10/8

f:id:c57115:20210130175651j:plain

 江ノ口川沿いは南国情緒豊かなやしの木が並んでいる。古い趣味誌の路面電車特集を開き土佐電気鉄道の路線図を見ると高知駅前の次は蓮池町通で高知橋の記載は無かった。新しい電停と思われる。600形616のパンタグラフはパイプで組まれた櫓の上に載り高さを稼いでいるように見える。 高知橋  H26(2014)/10/8

f:id:c57115:20210130175736j:plain

 はりまや通りで会う電車はどれも個性的な顔をしていた。いかついバンパーの591は「わんぱーくこうち行」のひし形サボが掲げられている。上回りのパンタグラフもクーラーも各車各様バラエティ豊かだ。バンパー上に見える表示板が気になる。他の電車は正面窓右下に付いていた。 蓮池町通  H26(2014)/10/8

f:id:c57115:20210130175840j:plain

 200形201と202は顔もサイドも同じスタイルなのに衣装が変わると違った顔に見える。辺りが暗くなってLEDの行先表示は「桟橋通五丁目」と浮かびあがってきた。安全地帯標識と「高知橋」の行灯式電停看板はとても風情がある。 高知橋  H26(2014)/10/8

f:id:c57115:20210130175936j:plain

 都会的な高知駅アンパンマンのキャラクターであふれるコンコースや2000系気動車が楽しい思い出として刻まれる。今は土讃線の呼称だが昔日の汽車好きは土讃本線でなくてはならない。47年前、この駅に降り立ったことがある。改札を出ると南国風情の駅前は渋い顔をした路面電車が停まっていた。高松からキハ181系“南風”に乗車、途中DF50の牽く列車やスイッチバックの光景を見た記憶が残っている。DF50と思っていた機関車はもしかしたら側窓が船舶のような丸い窓のDF91だったかもしれない。カメラ持参不可の教師引率の高知行であったので土讃本線と土佐電気鉄道の景色は消えそうな記憶で今もってうらめしい。 高知 H26(2014)/10/8