幸崎でとりあえず撮ったタンク車の形式写真をまとめてみると、濃硫酸専用のタンク車で形式はタム400・タキ300・タキ4000・タキ5750の4形式に集約された。幸崎は佐賀関精錬所で銅の精錬の際にできる濃硫酸の積出基地で日本鉱業を始めとする私有貨車が集結していた。荷重の増加で形式は進展し、タム400ー15㌧、タキ300-30㌧、タキ4000-35㌧、タキ5750-40㌧積であった。化成品分類番号は侵(禁水)84で、侵は侵食性の物質、禁水は水と反応する物質ということで車体にはこの標記がレタリングされていた。
タム1554 形式タム400 日本鉱業株式会社 濃硫酸及び発煙硫酸専用 侵(禁水)84 幸崎駅常備 幸崎 S57(1982)/1
タム10410 形式タム400 同和鉱業株式会社 濃硫酸専用 侵(禁水)84 南岡山駅常備 臨時常備駅幸崎 幸崎 S60(1985)/8
タキ300のことは「プロフェッサー吉岡の私有貨車図鑑復刻増補」(吉岡心平著/ネコ・パブリッシング/平成20年1月刊)に掲載された解説で把握できた。「濃硫酸(及び発煙硫酸)専用車として初めてのボギー車。タム400形15㌧積2軸車の拡大版で、昭和7年から45年間に亘って製作され、同一形式製造期間の最長記録。」とのことでなるほど同じ形式でも古典的なものから近代的スタイルまでバラエティがあった。その視点で写真を見るとタンク体の大きさや太さ、ドームの形状、台枠の構造等の違いがよくわかる。
コタキ366 形式タキ300 日本鉱業株式会社 濃硫酸及び発煙硫酸専用 侵(禁水)84 日立駅常備 幸崎 S57(1982)/1
コタキ388 形式タキ300 日本鉱業株式会社 濃硫酸及び発煙硫酸専用 侵(禁水)84 幸崎駅常備 幸崎 S58(1983)/10
コタキ386 形式タキ300 日本鉱業株式会社 濃硫酸及び発煙硫酸専用 侵(禁水)84 幸崎駅常備 幸崎 S59(1984)/6
コタキ333 形式タキ300 日本鉱業株式会社 濃硫酸専用 侵(禁水)84 幸崎駅常備 大分 S61(1986)/9
タキ4000はタキ300を少し引き伸ばしたような10m級のタンク車。所有者のマークや社名標記のバラエティが楽しめた。
コタキ34044 形式タキ4000 カクタス化成株式会社 濃硫酸専用 侵(禁水)84 幸崎駅常備 幸崎 S57(1982)/1
コタキ14048 形式タキ4000 三井物産株式会社 濃硫酸専用 侵(禁水)84 日立駅常備 臨時常備駅幸崎 幸崎 S57(1982)/1
コタキ34052 形式タキ4000 カクタス化成株式会社 濃硫酸専用 侵(禁水)84 幸崎駅常備 幸崎 S57(1982)/1
コタキ14074 形式タキ4000 カクタス化成株式会社 濃硫酸専用 侵(禁水)84 幸崎駅常備 幸崎 S59(1984)/6
コタキ14079 形式タキ4000 日鉱商事株式会社 濃硫酸専用 侵(禁水)84 幸崎駅常備 幸崎 S60(1985)/8
タキ5750形はタキ4000形の拡大版で濃硫酸専用車として初の40㌧積となる。
コタキ65772 形式タキ5750 日本鉱業株式会社 濃硫酸及び発煙硫酸専用 侵(禁水)84 敦賀駅常備 臨時常備駅幸崎 幸崎 S58(1983)/10
十把ひとからげで撮ったタンク車の写真を整理してみると濃硫酸専用以外のタンク車も見つかった。内外輸送のマークを付けたアルコール専用のタンク車も来ていたようだが詳細は良くわからない。