転轍器

古き良き時代の鉄道情景

ワサフ8000とワキ8000のこと

 茶色や青色の、車高はまちまちなれど車長は揃ったさまざまな形式の荷物列車の編成はなかなか魅力的であった。昭和50年代になると旧形が姿を消し、車長が揃わない灰色や鮮やかな青色のまるで貨車のようなリブとプレス構造のワキやスニと呼ばれる新系列車が加わるようになっていた。好みの車輌を好き勝手に並べたまるで模型の編成を見るような、荷物列車の様相は変わりつつあった。

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 荷物貨物共用貨車ワキ8000にオープンデッキの車掌室を付けたのがワサフ8000で、形態はコキフやレムフのような仲間に見えて貨車としか思えない。運用は客車として荷物列車の編成に組み込まれ、貨車としての稼働は無かったと聞いている。

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 車掌室側から見る。まさに貨車にしか見えないが蓄電池箱等が並ぶ床下は客車のような気がする。両サイドに付いた標識灯は埋込式ではないように見える。 ワサフ8543〔門モシ〕 門荷211 大分 S59(1984)/1/17

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 何気なく撮った荷物ホームの風景。みかん箱やダンボールを紐で縛った荷物が台車に山積みされた光景は旧形客車に積み込むのを連想するが、パレット積の新鋭ワサフ8000とはアンバランスに映る。「大分駅94」と標記された荷物台車が懐かしい。 ワサフ8015〔門モシ〕 大分 S55(1980)/9

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 ワキ8000は新製車と高速貨車ワキ10000から改造されたグループがあり、ワキ8585は後者のようである。台車はTR223を履いている。 ワキ8585〔鹿カコ〕 門司 S57(1982)/8/18

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 TR203を履くワキ8761〔名ナコ〕 門司 S52(1977)/8

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 TR223を履くワキ8506〔北スミ〕 南東荷205 大分 S61(1986)/9 

 ワサフ8000・ワキ8000とも側面シルバーのリブが並ぶ車体に管理局標記を表す正方形の板が張られているが、文字はいずれも消されている。貨車の所属を表す標記は管理局名の大きな頭文字から客車方式の「門モシ」のように、管理局+駅名略号に改められた事と同様の理由であると思われる。