転轍器

古き良き時代の鉄道情景

坊ちゃん列車

 伊予鉄道明治21年、四国初の鉄道として城下町松山と三津浜港の間を開業させている。昭和2年国鉄線が松山に辿り着く39年も前のことだった。クラウス製の機関車がマッチ箱のような客車を牽く姿を夏目漱石の小説『坊ちゃん』で「マッチ箱のような汽車」と表現している。地元では「マッチ箱」と呼ばれ、「坊ちゃん列車」の名前が定着したのは随分後のことのようだ。近代的装備で復活した「坊ちゃん列車」は松山観光の新たなシンボルとなっていた。

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 機関車1は蒸気機関車のスタイルをしたディーゼル機関車で現代にマッチした運行形態が工夫されている。伊予鉄道開業当初のクラウス甲1形1号機関車をモチーフに製作された。となりの2000形2006は元京都市電2000形で、昭和52年に伊予鉄道へ移籍している。 松山市駅前 H26(2014)/10/8

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 機関車1+客車ハ1+ハ2が路面電車の間をぬって走る。坊ちゃん列車のかわいいドラフト音、蒸気音、汽笛も煙も本当の蒸気機関車のようだ。 城南線松山市駅前~南堀端 H26(2014)/10/8

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 まるでミニチュアの世界、メルヘンの国に誘いこまれたような…。

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 機関車14+客車ハ31の編成。14のモチーフとなったクラウス甲5形14号は昭和31年に廃車されている。客車ハ31は明治44年製で坊ちゃん列車時代の生き残りがモデルとなっている。 松山市駅前 H27(2015)/2/15

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 軌道線松山市駅前を出る坊ちゃん列車。後方は鉄道線松山市駅のターミナルビルがそびえる。伊予鉄道松山市駅昭和2年鉄道省松山駅ができるまでは「松山」を名乗っていた。先に開業した伊予鉄道の松山は駅名を鉄道省に譲り松山市駅となった経緯がある。 松山市駅前 H26(2014)/10/8