転轍器

古き良き時代の鉄道情景

豊州路の汽車電車

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 14時30分頃の豊後豊岡上りホーム。ED7615〔大〕の牽く荷物列車が駆けぬけて行く。日豊本線は大川司信号場から亀川まではまだ単線の時代である。ED7615は昭和42年10月の電化の際に新製配備されたED769~ED7626まで18輌のグループであった。 日豊本線豊後豊岡 S53(1978)/8

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 基本6+付属3=9輌編成の“ゆのか3号”が国東半島のつけ根を行く。電車急行“ゆのか”は昭和43年10月に登場、4往復(1往復は気動車で残置)が基本7連で運転された。53年頃からサハシ455が外され始め、少しさびしい編成となったが付属の3連が付くと見応えのある編成となった。中山香~大川司(信)間の複線化は52年10月、大川司(信)~杵築間は53年9月に完成し、以後大川司信号場は廃止された。 5505M 日豊本線中山香~大川司(信) S53(1978)/9/19

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 中山香~杵築間は八坂川を幾度も渡り八坂川橋梁は第1から第6まで架けられ、ここ新八坂川橋梁は第3と第4の間の深い谷に架橋されている。電化工事の際、トンネル断面の狭さから新トンネル(陣田我王)掘削で線路が付替えられて新八坂川橋梁が架けられた経緯がある。架線が張られることはなかった旧トンネルの坑門が雑草の向こうに見えていた。撮影時は電化から11年め、新上り線の工事は完了し、下り線となる旧鉄橋を上り列車が通る光景は貴重な記録となった。博多行“にちりん5号”が鉄橋の轟音を響かせて通り過ぎる。 5030M 日豊本線大川司(信)~杵築 S53(1978)/9/19

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 直流181系の交直流版485系のグループは、北陸・九州用60Hz481系、東北用50Hz483系、50・60Hz両用の万能形485系、横軽通過489系とバラエティに富んでいる。各系列の番台区分や先頭車化改造の新形式など、その分類にはついて行けなくなってしまった。赤スカートクリーム帯、赤ヒゲのクハ481はその後ヒゲはなくなっていた。スピードの出せる別府市街の高架区間を疾走する宮崎行“にちりん3号”はサシ481を連ねた10輌編成であった。 5023M 日豊本線亀川~別府 S55(1980)/9/14

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 国東半島のつけ根を横切る宇佐~杵築間は立石をサミットとする長い山越えの区間である。上り列車が杵築を出ると立石峠まで14キロ、なだらかではあるがひたすら上り勾配が続く。ED7624〔大〕が牽く長い編成がアウトカーブに現れた。 日豊本線中山香~杵築 S59(1984)/7

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 大分電化で投入された電車は421系(モハ420・421)10編成、423系(モハ422・423)30編成の160輌であった。撮影時大分~佐伯間の普通列車は客車4往復、421・423系2往復、475系1往復、気動車1往復で運用されていた。午後の佐伯往復は大分13:04発佐伯14:39着、折返し16:40発大分18:07着のダイヤであった。 2542M 日豊本線下ノ江~熊崎 S55(1980)/7/6

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 南行の貨物列車は佐志生越えを終えると、下ノ江からは平坦な道を城下町臼杵の街並みを望みながら進む。前方の山々は臼杵湾津久見湾を隔てる長目半島へ続く稜線で、線路はこの先大きく回り込んで海沿いに出て、山の切れ目を探すかのように臼津峠へと進路をとる。 日豊本線下ノ江~熊崎 S55(1980)/7/6

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 大分平野は一面水稲が色づき始めている。平坦区間豊肥本線にあって、米良川の堤防を越えるのに16.7‰の勾配があり、キハ52+キハ55+キハ55+キハユニ26+キハ55の5輌編成が弓なりになって走って来た。もうしばらくすると辺りの田んぼは黄色いじゅうたんになる。 746D 豊肥本線滝尾~下郡(信)S53(1978)/9/19

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 交換設備のない天神山では「汽車通学」の生徒たちが下り列車を待っていた。由布院発大分行は天神山16:48発。この列車は久留米発由布院行639Dで由布院15:35到着後、列車番号は2639Dとなって由布院16:23発。生徒たちは由布院を発車した頃から三々五々天神山の片面ホームに集まって来る。何気ない日常を切取っていた。 2639D 久大本線天神山 S51(1976)/9/21