転轍器

古き良き時代の鉄道情景

折尾

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 蒸機の聖地、筑豊の入口はここ「折尾駅」。2階の鹿児島本線ホームから地平の筑豊本線乗場に下りると上の賑やかさとはうって変わって静かなたたずまいの中、独特のデフを装備したC5552〔若〕の牽く原田発若松行の10輌はつないでいるであろう長い編成が待っていた。低いホームと木製の上屋は筆字書体の乗場案内看板やタイルの洗面台が良くにあい、この光景が筑豊循環の旅の第一印象であった。 728レ 筑豊本線折尾 S45(1970)/8/3

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 貨物優勢の筑豊本線で旅客用のC55が貨物を牽くのは違和感があった。筑豊本線では若松貨車センターで全検出場した塗装ピカピカの貨車の試運転を行う仕業があり、牽引機はさまざまな形式が使われたようだ。C5557〔若〕がまるで模型編成のような雑多な貨車を牽く。 筑豊本線折尾 S46(1971)/8/10

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 鹿児島本線ホームから下で交差する筑豊本線ホームを見る。D6061〔直〕の牽く原田発若松行738レが停車していた。時代を感じる建物が点在する夕暮れの街並みが見える。 筑豊本線折尾 S47(1972)/1/6

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 時間が止まったような“静”の筑豊本線ホームとは対照的に“動”の鹿児島本線ホームはめまぐるしく電車が発着する。D6061〔直〕の738レが25分間停車している間に、下りは17:01門司港発博多行1165M、17:16小郡発荒尾行1267M、17:22門司港発荒木行139Mの3本、上りは17:00折尾発新田原行5547M、17:07博多発門司港行1162M、17:16博多発門司港・小郡行1164Mの3本、計上下6本の接続をしていることになる。 門司港発荒木行139M 鹿児島本線折尾 S47(1972)/1/6

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 1年後桜咲く折尾駅で再びD6061〔若〕と会う。昭和48年3月現在、筑豊本線D60は直方22・46、若松61・69の4輌が健在であった。若松の2輌は47年10月にDD51配置の余波で直方から移動している。その後48年7月には直方の2輌も若松へ配置替えとなり、直方からD60が消えてD60終焉へと向かう。
 D6061は昭和29年11月、D50282からの改造で誕生、昭和49年8月の廃車まで大分配置久大本線、直方・若松配置筑豊本線上山田線で約20年の軌跡を残した。 筑豊本線折尾 S48(1973)/3/31