昭和45年10月1日ダイヤ改正は次のような事柄が趣味誌で採り上げられていた。
・鹿児島本線電化完成 C60・C61全機廃車
・呉線電化改正 C62北海道転属
・中村線全通
・新快速登場 京都~西明石間
・高島線電化完成 D51791お別れ運転
・八高線・足尾線 無煙化
・新潟臨海鉄道 開業
手元にこれらに関連した3枚の記念切符が残っていたので当時を振り返ってみたい。
当時の時刻表の巻末には「ひと目でわかる電化と複線区間」が掲載され、日本全土の鉄道地図で電化・複線区間を探すのが楽しみのひとつでもあった。昭和43年10月号を見ると中央本線新宿~甲府間では石和~甲府間の2駅間が細い線すなわち単線区間で残り、45年10月に完成した際に記念入場券が発行されたのであろう。新しい複線路盤を行く181系“あずさ”が格好良く配置されている。裏面は何の解説もなかった。国鉄の正式な線名呼称は“中央本線”では?などと思ってしまう。
昭和40年代前半の趣味誌は川越線や八高線が多く掲載されていたので、遠い知らない土地ではあったが露出度に比例するように関東平野の情景が脳裏に刻まれている。D51やC58の牽く緩急車が付いていない石灰石・セメント列車は特に印象に残っている。切符には45年10月4日が刻印され、この日にお別れ運転が行われたようだ。2種類発行された内の1枚をストックしていた。
高島線さよなら運転は、D51791が「さよなら蒸気機関車」のモールを付けて東京~横浜港間を走る映像が未だに蘇るくらい衝撃的であった。これは雑誌というよりテレビから琴線に触れたものと思われる。SLブームとは何時頃からだろうか、マスコミの後押しも拡大の要因であろうと思う。記念乗車券裏面には運転日に“東京駅10時27分にご乗車ください。横浜港、石川町以外は下車できません”と記されている。図柄は国鉄創業当初の乗車券が並べられている。
高島線は東海道貨物支線や横浜臨港線の呼称もあり、線名とその区間は正式にはどうなのかは把握できていないが、貨物線が記載された線路略図からは京浜工業地帯に連なる名だたる駅名を見つけることができる。鶴見・入江・新興・東高島・横浜市場・高島・表高島・東横浜・横浜港・山下埠頭等貨車で埋まるヤードと迷路のような線路を想像する。