転轍器

古き良き時代の鉄道情景

吹雪の高城 昭和56年3月1日

 昭和56年3月1日は春を前に平野部も大雪に見舞われた。雪の経験のない生活は大混乱、前にも後にも「雪かき」で汗を流したのはこの時だけであった。非日常の景色を求めて簡易チェーンを装着し、近くの駅へ向かうと貨物列車が交換待ちをしているところであった。 日豊本線高城 S56(1981)/3/1

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 視界のきかない高城駅はダイヤ通りか定かではないが、貨物列車交換の最中であった。静まりかえった構内に鶴崎で組成されたであろうタンカー編成が上り線を通過する。下り列車が退避しているのがうっすらとわかる。

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 辺り一面静かな空間に重たいタンカーのジョイント音が響き渡る。かすむ構内にヨ8000の尾灯がふたつ浮かびあがる。

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 ヨの尾灯が視界から消えて行くと側線につながれたED74の廃車群がうっすらと浮かびあがる。上り列車通過後も踏切警報機は鳴りやまない。

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 踏切警報機は鳴りやまないまま、転轍器が作動し下り列車の進路が構成される。

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 踏切警報機の音をかき消すようにモーターの唸りが次第に大きく聞こえてきた。吹雪の勢いは増すばかり。

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 機関車が眼前に迫ってやっとナンバーがナナロクの66番と確認できた。上り通過から下り発車まで冷たい雪と風に打たれながら踏切脇でじっと耐える。

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 寒さに耐えきれずこの列車の通過とともにこの場から退散したのは言うまでもない。平野部での積雪はこの後も何度か経験したが写真に残せたのはこれが唯一であった。 日豊本線高城 S56(1981)/3/1