転轍器

古き良き時代の鉄道情景

石川台慕情 池上線昭和49年頃

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 池上線は山手線のターミナルから放射状に延びる私鉄線のひとつであるが、他の路線距離が長く編成輛数も多く、また地下鉄相互乗入を行っている私鉄とはちがった、下町を行く独特な風情があった。呑川に向かって台地がせり出したような地形に石川台駅はあった。「東京急行石川台駅」の電照式駅名看板はわが街の顔を訴えているようだ。

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 上りホームの駅名看板。駅は起伏のある地形の高台にあることがわかる。

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 五反田行はおでこの丸い電車がやって来た。池上線沿線は門形架線柱を覆う異常な高さの送電線鉄塔が続いていた。画面左、線路が切れる辺りに呑川の鉄橋があった。

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 夜の帳がおりた石川台駅。帰り客でいっぱいの蒲田行が着くと、甲高い音の踏切警報音がやんで遮断機のバーがあがる。

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 石川台宵闇。上り五反田行はホームもまばら。吊掛けモーターの音は夜になると寂しい響きに聞こえてくる。築堤上を行く電車のモーター音はかなり遠くまで届き、辺りの建物に反射する。

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 商店街から駅に続く坂道。駅手前の踏切を哀愁のあるモーター音を響かせて、勤め帰りの乗客を乗せた満員電車が通る。

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 通勤客が乗った五反田行が朝日を浴びて呑川を渡る。街に鉄橋を渡る轟音が響き渡る。