転轍器

古き良き時代の鉄道情景

関門トンネルを通る

 関門トンネルを通る機会に恵まれ列車の最後部から前面ならぬ後方展望を楽しんだ。まずは関門トンネルから出てきたEF30重連の上り貨物列車と会う。下り本線4番線から見るEF30重連は、構内外れの上り貨物10番線から上り本線9番線に渡って進んでいるようだ。 下関 S45(1970)/8

 下関は本州と九州を結ぶ鉄道の要衝、機関車交代の風景は否が応でも旅の情緒が盛りあがる。興味深く見ていた直流機関車とステンレスの機関車の付け替えは線路配線図からその巧妙な仕組みが施されていた。上下本線を支障しない基地への出入り、解放機が逃げ、連結機が待機する配線はよく考えられていると感心する。駅と車輛基地、貨物ヤードと臨港貨物線、それぞれの連携も工夫があって見ていて楽しい。

 下関を発車した列車は一直線に延びる下り本線を通っている。画面右側地平はレサの列が見える。線路は右からEF30が待機する西機待線1、西機待線2、下り本線、中通路線、西電留線1、80系6連が見える西電留線2、そして一番左の上り本線である。 山陽本線下関~門司 S45(1970)/8

 下関終点方の線路配線略図を、写真に合せて縦に振ってみた。列車から見える高架上の7線は図面通りであった。右側、下り小運転線と引降線はこの位置では既に地平へ降りている。左側地平は下関運転所の基地が広がっているはずである。何とも贅沢な鉄道風景だろうか。

 関門トンネルに突入。下関側は上下線が離れて楕円のトンネルポータルであった。

 明るくなって門司側出口の一瞬を撮る。この角度は勾配を登って地上へ這い上がる様相で門司港からの線群と合流して門司構内へ至る。地上後方、ヤードが広がっているであろう辺りに照明塔が建っているのが見える。

 門司到着。電車列車ならトンネルから勾配を駆け上がった辺りで照明が消え、デッドセクション通過が体験できる。2面の上りホームは門司港へ向かう421系とEF30の牽く山陰本線方面の客車列車が入っていた。 門司 S45(1970)/8

 門司から小倉にかけては何本もの線路が輻輳し一時も目が離せない。関門トンネル通過のEF30重連は幡生操車場から門司操車場と東小倉貨物駅までの間を行き来する。九州入りした下り貨物列車はここから赤い交流電機と交代する。 鹿児島本線門司~小倉 S45(1970)/8

 下り列車から見えたEF30重連貨物列車の位置は、門司機関区の線群を潜って地上へ出て8線に別れた下り貨物線が収束する辺りである。下り本線と下り貨物本線は並んで門司操車場から東小倉ヤードの膨らみに沿って一番外側を走り、小倉の手前で鹿児島・鹿児島貨物・日豊の3複線の複雑な綾を作る。興味つきない魅惑の鉄道地帯である。