転轍器

古き良き時代の鉄道情景

美祢線 厚狭川に沿って

 厚狭行普通列車が発車した後、美祢行返空の白いセキ編成がゆっくりと始動する。美祢線石灰石の列車本数が多く、この当時すでに小さな駅も道路の横断歩道橋のような跨線橋が設けられていた。道床は石灰石列車の往来の激しさで“白い道”と化していた。 宇部発美祢行5685レ 美祢線四郎ヶ原 S47(1972)/8/11

 小野田セメントの専用車ホキ4700はセキ6000に蓋を被せたような形態で石灰の粉が付着した白い貨車であった。美祢線石灰石輸送は2系統あり、重安発が小野田セメントで小野田港行、美祢発が宇部興産宇部港行であった。小野田セメントの編成は緩急車が付いて列車の体裁を成していたが、セキ6000の編成は緩急車が省略されていた。 D511026〔厚〕の牽く重安発小野田港行5894レ 美祢線四郎ヶ原~南大嶺 S47(1972)/8/11

 厚狭川左岸で下り列車を待つ。

 美祢線が趣味誌で紹介される機会が少なかったのは、それなりの列車本数がありながら積車編成は下り込み、空車返送で力行はするものの逆向きの運転形態がその理由と思われる。そうは言っても厚狭川沿いの河岸段丘を行くきれいに揃った清一色の専用編成は魅力であった。 宇部港発美祢行5687レ 美祢線四郎ヶ原~南大嶺

 厚狭川右岸から上り積車編成を見送る。石灰石満載のセキ6000の列は軽快に坂をかけおりて行く。セキ6000に混じって斜めアングルの入った古豪セキ1000の姿も見える。 5690レ 美祢線四郎ヶ原~南大嶺 S47(1972)/8/11

 煙たなびく編成美が撮れると待っていると、やって来たのはエンジン音を対岸に轟かす真新しいDD51だった。

 鉄橋から辺りに響き渡るリズム正しいボギー貨車のジョイント音が切れ目なく続く。 5689レ 美祢線四郎ヶ原~南大嶺 S47(1972)/8/11