転轍器

古き良き時代の鉄道情景

美祢線の白列車

 美祢線の強烈な印象を受けたホキ4700群の白列車。遠目で見るとまるで冷蔵車のような真っ白い貨物列車であった。緑萌える景色をバックに黒いD51とワフ21000、白いホキ4700のコントラストがとてもすばらしかった。

 列車は小野田港発重安行。厚狭川に沿ってゆっくりと進む。乗務員がキャブから身を乗り出して前方を確認しているように見える。

 ワフ21000の煤けた車体に“広”の管理局標記がうっすらと見える。車体は黒を保っているが、下回りの軸受けは白に染まっている。

 ホキ4700の白くかすんだ車体に小野田セメントの社紋とレタリングがうっすらと読める。

 速度が遅いので長い編成をいつまでも堪能できた。

 ホッパ車の列はまだまだ続く。

 ホキ4700の列の後はセキ6000の列が続く。とても長い。ものすごい編成を見送った。 5893レ 美祢線四郎ヶ原~南大嶺 S47(1972)/8/11

 何往復もの石灰石列車をさばくため厚狭~湯ノ峠間に鴨ノ庄(信)、湯ノ峠~厚保間に松ヶ瀬(信)の各信号所が設けられていた。帰りの便ですれちがったD51518〔厚〕の牽く重安行白列車が美祢線で撮った最後の写真となった。 5693レ 美祢線松ヶ瀬(信) S47(1972)/8/11

 平成時代の始め頃、美祢線のネガを六つ切の銀塩写真にしてアルバムを作った。そのキャプションは『その後美祢線の情報は何もなく、前にも後にもこれがただ一度の訪問であったので今でもあの時のまま、白列車が走っているような気がする。』と結んでいた。インターネットの時代になって美祢線の画像は豊富に見ることができるようになったが、雑誌だけが頼りの昭和の時代は美祢線の話題は希少であった。