転轍器

古き良き時代の鉄道情景

鹿児島本線のED72

 鹿児島本線門司港~久留米間電化の際にED72試作機が登場、電化延伸に伴ってED72は22輛が揃い、ED73 22輛と共に門司機関区に配置された。ED72は旅客列車、ED73は貨物列車用として投入されたが、実際はSG搭載のED72が貨物列車を牽引し、SG無しのED73は20系を始めとした固定寝台車編成も牽くなど、共通運用の感は否めなかった。

 門司機関区ED72・ED73・ED75・ED76の優等列車の運用は上下列車で必ずしも同一形式ではなかったようだ。撮影時、趣味誌に掲載された運用表を見ると、“みずほ”(門司~熊本間)下り5レはED73、上り6レはED76牽引と記されていた。小倉駅で撮られた下り5レ“みずほ”はED7217〔門〕の牽引だったので、ED73との共通運用だったのかもしれない。 小倉 S51(1976)3/21

 ED7212〔門〕に牽かれ、一路鹿児島本線を南下、長崎・熊本をめざす特急“みずほ”は三段寝台14系で、前8輛が熊本行、後ろ6輛が鳥栖で分割されて長崎行となる。 5レ 鹿児島本線二日市~原田 S51(1976)/5/9

 “鳩胸”スタイルはED72、ED73とも独特であった。サイドはエアフィルター下端の位置が前面屈折ラインと揃ってとてもスマートに見える。撮影時は全機健在であったが、昭和53(1978)年10月改正では約半数の10輛に数を減らしていた。 ED7214〔門〕牽引の下り貨物列車 鹿児島本線遠賀川~海老津 S49(1974)/8

 写真:BBSさん

 ED72の軸配置は中間台車を備えたB-2-Bである。下回りの外観は中間台車の両側にSGに伴う蒸気発生装置の水タンクと燃料タンクが備えられていた。後年、SG撤去で水タンクと燃料タンクが取り払われて下回りがスカスカになった改造機が現れている。 ED7210〔門〕の牽く黒崎発石原町行のホキ・セキの返空編成 小倉 S48(1973)3/30