転轍器

古き良き時代の鉄道情景

タキ3900

 タキ3926 形式タキ3900 石油荷役株式会社 石炭酸専用(内部ステンレス) 東海道本線豊橋西小坂井 S51(1976)/3/26
 EH10が牽く長い貨物列車を撮影して流れる貨車群を見送っていた時、ふと見慣れないタンク車が現れたので慌ててシャッターを押したものと思われる。撮影はしたがこのタンク車の正体を知る手がかりは何もなかった。

 平成10年代に見ることができた「吉岡心平の私有貨車研究所」ウエブページに、同じ形態のタサ3400が紹介され、これはあの時のタンク車だと固唾を呑んで凝視した覚えがある。『タサ3400は我が国タンク車の歴史を語る上で欠かすことのできない形式のひとつ。何故ならタンク体に当時高価だったステンレス鋼を、積荷の純度保持のために初使用したから』と記述されていた。撮影したタンク体には「内部ステンレス」と標記されて、タキ3900はタサ3400の後継機であったことを知る。
 タサ3400は昭和26年製20トン積石炭酸専用車、写真のタキ3900は昭和30年以降製30トン積同専用車でクラシックな外観はとてもよく似ている。積荷の石炭酸とは石油化学製品の一種で、プラスチックやナイロン、農薬や医薬品、染料の原料となる物質であるとのこと。