転轍器

古き良き時代の鉄道情景

貨車移動機

 貨車移動機を意識して撮影したことはないが、運転所の扇形庫で見た記憶がある。機関車を撮った写真のどこかにたまたま写ったコマがないかネガフォルダを捜索した。

 偶然にもワラを牽く貨車移動機を撮っていた。とても大きく見える前端梁の連結器や排煙管を高々と揚げた得意げな姿は入換機関車のように見える。
 ここ大分港駅は西大分から入って来た列車はスイッチバックして貨物ヤードへ後進する配線で、この位置は突込み線の末端で大分港駅の東端にあたる。蒸機時代は大分のC58や8620、南延岡のD51が入線していた。右端の国道はかつて大分交通別大線の軌道が通っていた。 大分港 S56(1981)/2/11

 扇形庫横の放射状に延びる機留線は手前からD6060〔大〕、C58105〔大〕、救援客車、配給車代用貨車が並び、その横は堂々と貨車移動機が休んでいる。機関区セクションの役者が揃ったようだ。 大分運転所 S44(1969)/6

 貨車移動機の概念は車輛ではなく機械とのこと。貨物側線で貨車の入換や動力車基地で無火機関車の移動を行ったりしていたのでてっきりディーゼル機関車と思っていた。車輛ではないので本線上を走ることはできないとのこと。なるほどチキに載せられた光景は見たことがある。大分運転所に整列した新製DE10の移動に仕事した時の姿だと思う。 大分運転所 S45(1970)/9

 横から見るとまるで16番模型の自由形Bロコのようだ。

 転車台上のDE101015は大分運転所配備のDE101000番台のトップナンバーだ。昭和45年5月日車製で久大本線に投入された機関車で、この後豊肥本線日豊本線にも足を延ばすようになる。貨車移動機は救援客車と手をつなぎ次の仕事を待っているようだ。 大分運転車所 S47(1972)/2/20

 9600重連の客車列車を撮るのに立寄った水前寺駅は貨物取扱いが多く、貨車移動機が配備されていたものと思われる。フロントデッキゼブラ塗が停まっていた。 豊肥本線水前寺 S47(1972)/3/29

 時は経って民営化直前の西大分構内。カラーフィルムで退色はしているが貨車移動機の色具合がわかる。正月飾りが付けられてほほえましく映る。大分運転所で見たタイプとはキャブ窓が異なっている。 西大分 S62(1987)/1

 また違ったタイプに見える。キャブ窓もボンネットのフィルターも異なっている。 西大分 S63(1988)

 これは昭和62年1月に撮った写真と向きも同じ、同一機のように見える。貨車移動機の顔は前後で異なるのだろうか。また謎が深まってきた。上の写真と置かれている場所は同じ、年月も近いので同一機であろう。 西大分 H1(1989)/1

 ロッド式の大形機が来て交代したのかもしれない。 西大分 H2(1990)/3

 九州石油製油所から専用線でタキを牽いて来た移動機を撮る。キャブに日通ロゴが入ったロッド式3軸機で、ランボードに「協三工業」の銘板が付けられていた。 鶴崎 S63(1988)/11