転轍器

古き良き時代の鉄道情景

赤塗りのEF81

 貨車移動機がどこかに写っていないかネガフォルダを捜索した際、ふと赤い機関車に目が留まった。ネガの日付は昭和62年1月、国鉄民営化直前の撮影であったが赤いEF81のことは記憶からぬけていた。

 赤いEF81が大分に来ていた。しかも区名札は「大」が入っている。前年に関門のEF81がブルートレインを牽いてロングランすることを聞き、ローズピンクのEF81を撮っていたので、赤の400番台ではないEF81は驚きであった。 EF8175〔大〕 大分 S62(1987)/1/14

 国鉄時代最後となる昭和61年11月改正は、関門間のEF30置換えもあって列車削減や運用効率化でEF81が九州で勢力を拡大する契機となった。特急運用が門司から大分へ変更となり、EF81が日豊本線へ入線するのは私にとっては重大ニュースで、F級機関車が日豊本線を走るのはDF50以来とあって驚きとともに衝撃であった。

 日豊本線に乗入れたEF81を初めて見たのはこれまで見慣れたローズピンクのいわゆる赤13号塗色であった。 日豊本線東別府~西大分 S61(1986)/11

 大分運転所のEF81についてこれまで私の認識は400番台に改造された後大分に来たものと思っていた。自分が撮ったネガを見て、どうもそうではないようだと新たな疑問が浮かんできた。本棚で眠っていたEF81特集の「鉄道ファン425」からその答えがわかってきた。

 国鉄時代末期の慌ただしい動きをまとめたのがこの表で、転属、赤2号塗色変更、400番台改造、JRになってからの赤13号塗色変更の日付を追ってみた。転属は田端→門司→大分と田端→大分の2通りがあったこと、大分配置後4輛が赤2号に塗色変更され、その後全機400番台に改造、その後残り2輛が赤2号に変更されたことがわかった。JR化後の全般検査で元の赤13号に戻されている。

 EF8175は田端から大分に来て400番台に改造される前に赤く塗られている。たまたま通りがかった時にシャッターを押したものと思われるが、ある意味貴重なカットではないだろうか。田端時代はローズピンク、その後400番台に改造されているのでわずかな期間のEF8175赤2号塗色となるからだ。

 「鉄道ファン425(平成8年9月)号」掲載の『EF81オールラウンダー』から赤2号塗色変更について記述があるので以下抜粋する。
 「EF81形一般機の塗色は交直流機の標準色である赤13号(ローズピンク)である。国鉄時代はこの塗色で使用されていたが、国鉄分割民営化直前の大分運転所へのEF81形(400番台重連形改造種車)6輛の配置に際し、配属先の大分運転所で交流機専用の赤2号に塗り替えを行ったのが最初である」。

 赤2号塗色のEF81410〔大〕が7レ“富士”を牽く。EF81の赤塗りは大分転属の際に行われ、EF81410はEF8151から400番台に改造されたのが昭和61年12月27日、赤く塗られたのが翌62年1月7日とのことでその直後に撮影したものと思われる。 日豊本線東別府~西大分 S62(1987)/1

 大分のEF81400番台はその後ローズピンクに戻って活躍する。赤2号塗色のEF81はこの後北斗星の流れ星やスーパーレインボー等いろんなバージョンが誕生していったようだ。 日豊本線西大分 H4(1992)

 EF81の赤塗りで今回2つの驚きがあった。ひとつは、自分が撮影していたのにきょうまでその認識がなかったこと。そしてもうひとつはEF81の赤塗りは大分運転所がその“さきがけ”であった、ということを今になって知ったことである。