転轍器

古き良き時代の鉄道情景

上臼杵 717系200番台

 上臼杵臼杵川を渡ってR362の左曲線上に駅がある。国道のバイパスができたので少し高い位置からカーブした駅を俯瞰ぎみに見ることができた。地方都市のどこでも見られる中心駅近くは錆びれて新たな繁華街は郊外に広がる光景はここ臼杵でも同様で、市中心のとなりの臼杵駅は時間が止まったような以前のままの駅前風景に対して、郊外の上臼杵駅後方はバイパス沿いの店舗が軒を連ねている。
 上臼杵の思い出はDF50の牽く列車に乗車した遠い時代にさかのぼる。南延岡行列車が上臼杵に着く頃は辺りが暗くなっていた。進行方向右側の席では駅のホームはわからない。駅を出ると煉瓦煙突が見え、すぐさまトンネルに入る。何度か通るうちに煉瓦煙突はウイスキー工場の煙突ということがわかり、2つの短いトンネルをぬけると臼杵到着であった。
 臼杵は古くから醤油や味噌の醸造業と造船業が盛んで、かつてはサントリー臼杵工場、日本専売公社臼杵工場が立地していた。鉄道貨物輸送の時代は材料・原料の到着と製品出荷で賑わっていたと思われる。

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 カーブした上臼杵に停車するのは2つドアの近郊形717系2輌編成であった。正面だけ見れば従来の415系と思ってしまうが側面を見て系列が違うということに気づく。717系は国鉄最晩年の昭和61年秋に登場し大分と鹿児島に配置された。九州の717系はクモハ716+クモハ717の2連ユニットで200番台を名乗っている。最近まで長崎本線佐世保線に投入された713系の増備車と思っていた。 日豊本線臼杵 H1(1989)/5

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 日豊本線で見た塗装は九州色と呼ばれるクリーム10号に青色23号の帯のいでたちであった。そのカラーコードをクモハ716に適用する。

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 しかし出場時は713系と同様のクリーム1号の車体に緑色14号の帯が巻かれていたと聞く。そのカラーコードをクモハ716に適用する。仙台カラーに似たグリーンラインは九州内では馴染めなかったのだろうか。長崎本線佐世保線の581・583系改造の715系も緑帯から青色帯に変更されている。

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 昭和53年に417系が仙台地区に投入された際は415系同様交直流色の小豆色であったので、もし九州の717系投入がもう少し早い時期であったなら塗色は赤13号小豆色であったであろうと勝手に想像する。