転轍器

古き良き時代の鉄道情景

D6069 出水時代

 平瀬さんのアルバムを拝見した際、上路式転車台に載ったD6069の写真に目を奪われた。大分か柳ヶ浦かと思いきや、転車台と周りの様子が違うことで一瞬たじろいだこの写真は熊本で撮影されたとのこと。出水機関区のD60は熊本まで運用されていたことを示す貴重な記録であると思う。 D6069〔出〕 熊本機関区 S38(1963)/2/14 撮影:平瀬清隆さん

 出水にD60が配置されたのは昭和34年10月、北海道は池田からの46・57・69が最初で、その後豊後森から22が加わって4輛配置となった。この時D50が同数廃車になっているのでその置換えと思われる。出水機関区は熊本~鹿児島間が運用範囲で機関車は常時17輛位が配備され、昭和36年4月ではD60-3、D50-4、D51-11輛の内訳であった。D60配置の導因は「水俣から出水間の補機に使用」との記述を見たことがあるが、書籍に載った鹿児島本線D60の写真を見ると、ハドソンといっしょに写った八代駅頭の姿が印象に残っている。熊本機関区で撮影された写真から、D60の運用範囲は熊本~出水間であったのではないかと推察する。補機として運用されたなら水俣~出水間に袋をサミットとした16.7‰の勾配があるが、湯浦~津奈木間の津奈木太郎越えも難所であったと聞く。

 出水機関区は昭和39年10月改正で機関車形式をD51に統一し、D60の配置は解消された。手持ちの配置表から推測すると、D51直方→出水とD60出水→直方の交換によって各区の形式統一を行ったものと思われる。その後D6057は直方から大分へ、D6069は直方から柳ヶ浦を経て大分へ転属し、それぞれ久大本線で働くことになる。