転轍器

古き良き時代の鉄道情景

タム400

 
タム10410 形式タム400 同和鉱業株式会社 濃硫酸専用 侵(禁水)84 南岡山駅常備 臨時常備駅幸崎 幸崎 S60(1985)/8
 模型のような2軸のタンク車タム400は、タンク体の形状やドームの有無など豊富なバラエティがあるようだ。タム10410は上回りの手摺りの高さに対してドームが無いのでアンバランスに映る。撮影時、常備駅の南岡山が気になっていて、国鉄線上で岡山操車場、西岡山は確認できたが、南岡山の存在はわからずじまいであった。それもそのはず、南岡山は宇野線大元から分岐する岡山臨港鉄道の駅であった。この鉄道は昭和59年に廃止されていて、フレームに標記された臨時常備駅幸崎の意味がわかってきたような気がする。廃線後、山陽筋の運用から幸崎へ転用されたのであろう。

 1年後、同じナンバーを撮っていた。撮影時は全く気付いていない。広島鉄道模型友の会のホームページに自作したタム10410の記事を発見し、この写真がそのまま模型になったような見事な再現に驚かされた。記事の中に「同和鉱業所有で南岡山駅常備の濃硫酸専用ドームレスタンク車です。末期は日豊本線幸崎駅日鉱金属の運用に出稼ぎに来てました」と実車の記述があり、臨時常備駅の推測は正しかったと安堵する。 タム10410 大分 S61(1986)/9

タム1554 形式タム400 日本鉱業株式会社 濃硫酸及び発煙硝酸専用 侵(禁水)84 幸崎駅常備 幸崎 S57(1982)/1
 こちらは同じタム400でもタンク体が細く印象が異なる。ドームとドーム回りの手摺りの高さのバランスがとれているように思える。所有者の標記は同和鉱業と比べると書体が細く感じられる。幸崎は佐賀関精錬所で精製された濃硫酸を運ぶさまざまな形式のタンク車が常駐していた。
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 東京都の線路端さんから岡山臨港鉄道の様子を伝えて頂いた。昭和51年に訪問の後、急きょ廃止の報を聞いて再訪したのが昭和59年で、写真はその時に撮影されたもの。タムの常備駅から発した素朴な疑問は二葉の写真で果てしないロマンへと変わっていった。 写真:線路端さんより提供

 大元を起点とする岡山臨港鉄道は南岡山が終点であるが、客扱いは一つ手前の岡南元町までとのこと。貨物駅の南岡山は岡南元町駅と隣接して構内が広がっている。 S59(1984)/12/16

 南岡山の構内を遠目から見る。片目のキハがぽつんと置かれたヤード風景は模型的で古き良き時代の郷愁を誘われる。 S59(1984)/12/16