転轍器

古き良き時代の鉄道情景

船尾行5493レ

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 新飯塚発後藤寺行529Dに乗車し後藤寺線13.3㎞を乗り通し、頭端式の後藤寺駅0番線に到着する。勇み足でホームに降り立つと中線に長編成の貨物列車が停車していた。この長い編成がどのように進むのかわかっていたか否かは記憶にないが、発車の汽笛が鳴るのを胸の鼓動を抑えながら待っていた。0番ホームは到着列車からの乗客が改札口へ向かっていた。 後藤寺 S47(1972)/3/30

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 0番ホームに人影が無くなった頃、2声の汽笛が響き重そうな編成が動き始める。新飯塚からの529Dはキハ30・35の入った3輛編成だったのがわかる。

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 苅田港から船尾へ戻るセキ・ホキ返空編成は日田彦山線で後藤寺駅の中線に入る。後藤寺線へ歩を進めるには後部に機関車を付けて急角度の分岐器で糸田線に渡り、さらに外側の後藤寺線へ渡らなければならない。

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 5493レの本務機59681〔後〕は中線から糸田線へ渡る。画面手前に見える分岐器は後藤寺線への進路となる。後方の信号扱所や石炭車の列が見える光景は炭鉱地帯の拠点駅を物語っているようだ。

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 渡り線を外へ外側へと渡って後藤寺線の本線へ出る。後藤寺線分岐は駅構内中程に位置し、まるで私鉄線の様な独特な線路配線と思う。勾配標は下り勾配21.5を示し、駅を出てすぐ下り坂になっているのがわかる。0番線からの安全側線も見える。電柱に付けられた「もう一度確かめてよいか、よいか、オーライか」の標語は良き時代の鉄道情景といえる。ロセフ158は若松工場での検査がレタリングされ、下回りの構造は幾何学的に見える。

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 流れるホッパ車の規則正しいポイント通過音が聞こえてきそうだ。背の高さ不揃いなセキ6000とホキ4200のつなぎ方はまるで模型編成のように映る。右に見える梯子は後藤寺駅名物の腕木式の信号塔で、残念ながら写真には写っていない。

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 長い編成の最後部が見えてきた。本務機は牽き出し時力行するも、本線に出ると下り勾配にかかるので補機はぶら下がっているように見える。後藤寺から船尾行は中元寺川橋梁まで下り勾配、その先は14‰上り勾配で、船尾行は後補機、後藤寺行は前補機が常態のようであった。 

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 本務機59681〔後〕、後補機29602〔後〕が務める苅田港発船尾行5493レは後藤寺構内を出る。 後藤寺 S47(1972)/3/30