転轍器

古き良き時代の鉄道情景

川崎市多摩区生田辺りの小田急線

 川崎市多摩区生田に住んでいた同郷の友を訪ねたのに、最寄り駅は小田急線の向ヶ丘遊園だったか生田であったか思い出せないでいる。緑多きこの地で行き交う電車を撮っていた。 写真は全て:小田急電鉄小田原線向ヶ丘遊園~生田 S51(1976)/2/21

 新宿から急行に乗ると下北沢、成城学園前多摩川を渡って登戸と停車して次が向ヶ丘遊園であった。生田は急行は停車しなかったので向ヶ丘遊園で乗り継いだ記憶もある。各駅停車で新宿まで乗った時はとても長く感じたが、今ふり返ると新宿~生田間距離17.9Km、乗車時間約31分であった。クーラーを載せた急行小田原行が通る。

 当時最新鋭の9000形6輛編成。従来見慣れたおでこ2灯ライト、貫通扉の高さに揃えた前面窓の顔からは大きく変わった画期的なデザインであった。

 急行新宿行8輛編成。前4輛は3扉で先頭にパンタがあるので2300形だろうか。後ろ4輛は異なる系列かもしれない。鉄製架線柱が建ち、ビームは一般的なトラスビームと簡単な横一本が混在している。架線の留具はおもしろい形をしている。

 列車種別窓は「臨時」、行先方向窓は「団体専用」が表示されている。ナンバーは2235なので2220形と思われ、2+2で組まれていた。

 カーブの先に向ヶ丘遊園駅が見えてきた。中線は新宿方面の発着線のようだ。この位置の架線柱は両サイドでコンクリート製と鉄製で異なり、ビームのタイプもバラエティに富んでいる。駅へ続く小路は古書店や飲食店の古い家屋が並んで線路沿いの味のある通りを想像する。急行小田原行の先頭車は3扉のようでパンタも見えるので2300形か?

 2454の顔は貫通扉が奥に沈み込み、前面窓も窪んで取付けられているように見えて彫が深い印象を受ける。

 車体を傾けて迫る本厚木行はスカートが付いてスマートに見える。3輛目から5輛目までは3輛連続パンタ車なので2600形と思われる。整然と並ぶ押込形ベンチレーターが美しく映る。

 向ヶ丘遊園止りの2600形2653が引上線に待機している。おでこに飛び出たヘッドライトや厚い車体に埋まるような前面窓の造形は凹凸が強調され、丸っこく感じる。出会った編成に冷房装置搭載車は少なく冷房化途上の時であった。前にも後にも小田急電車を撮ったのはこの時だけで、今顧みるとこの丸みの顔に愛着を感じる。 小田急電鉄小田原線向ヶ丘遊園~生田 S51(1976)/2/21