転轍器

古き良き時代の鉄道情景

熊本機関区と熊本客車区

 熊本駅本屋側から第3ホームの向こうに鎮座する明治の香り漂う煉瓦の庫を見る。熊本機関庫は九州鉄道時代の明治24年に開設された。

 明治の庫は第3ホーム5番線から手の届くような至近距離で見える。昭和35(1960)年に行われた構内拡張工事で第3ホームが新設されたが、それまでは第2ホームから矩形庫までの間は6線の線路が敷かれていた。

 きれいな気動車を撮っていた。デビュー前の“サウンドエクスプレスひのくに”のようだ。グリーン車発生品のリクライニングシートやカラオケを取付けた団体専用の車輛で、キハ58+キハ58とキハ28+キハ65の2ユニットが改造されたとのこと。

 熊本機関区のキハ58 700番台は昭和44(1969)年の配置表では、700~706・768が記載されていた。ジョイフルトレインとして車内改装が施工されたものの改番は行われていないようだ。 キハ58701〔熊クマ〕

 両運転台のキハ52は111・112・113・129・134・142の5輛が配置されている。 キハ52112〔熊クマ〕

 朱色の塗色はすっかり色あせている。キハ52 111~113の3輛は昭和39(1964)年2月、134・142は昭和41(1966)年3月から7月にかけて熊本機関区に新製配備されている。129はその後鹿児島から転属してきたものと思われる。

 SG無しの1500番台車のDE101587〔熊〕

 12系お座敷客車山編成のスロフ12827“桜島”〔門トス〕は「POWER UP YATSUSHIRO」のヘッドマークを掲げている。となりの“みずほ”編成は出入口上に星が3個並ぶ2段寝台のスハネフ14と思われる。

 洗浄線に並ぶ客車・気動車群にもう1編成ブルートレインが入っている。新大阪~西鹿児島間“なは”の熊本落しの編成のようで、こちらは角張った端面の24系25形オハネフ25のようだ。“なは”はA寝台・食堂車無しのモノクラス編成で7~13号車までが熊本編成であった。

 熊本機関区の救援車オエ6169は窓の多いマニ60からの改造と思われる。

 スユ44を撮っていた。外観はTR203を履くスニ40と同じながら、スユ44は郵便マークを掲げる郵政省所有車であった。汐留~九州間限定の護送便専用車とのこと。 スユ447〔南トメ〕

 荷物輸送近代化のため昭和53(1978)年10月改正に登場したマニ44は車体長19mのロングボディが特ちょうだ。屋根まで全面青色の塗色が斬新に映る。台車は乗り心地改善の新形式TR232で格好よく見える。 マニ442141〔名ナコ〕

 写真は全て:S61(1986)/1/18