転轍器

古き良き時代の鉄道情景

海崎黄昏時

 所用で佐伯に行った帰り道、日没時刻にもかかわらず佐伯からひとつめの海崎駅に立寄ってみた。何の変哲のない上下2線だけの普通の駅であるが、そこに立ち止まらせたのには訳があった。駅の近くの海岸沿いに要塞のような日本セメントの工場があり、かつて専用線が敷かれていた痕跡が見られれば、と思ったからである。駅から工場の方を眺めるも、はっきりとした線路跡は確認できず道路横断の位置を推測して立ち去ろうといていた。ふと信号機に目をやると下り側は青の進行現示で、暗くはなったがせっかく来たので下り列車を待つことにした。 日豊本線海崎 S61(1986)/4

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  下り側佐伯寄り構内を見る。下り側だけ1本の側線が本屋寄りに引かれていた。工場への専用線は角度的に下り線を進みスイッチバックする線形であろうと推測する。画面左に工場の煙突が見える。

 

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 上り側津久見寄りを見る。上下本線以外は側線1本だけて工場への貨車の出し入れはどのように行われたのか想像がつかない。

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 海崎は無人駅。この年代はどこの小駅も跨線橋が設置されていた。下り列車接近。辺りはすっかり暗くなっていた。

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 475系6連が入って来た。方向幕は「普通」が照らし出されている。列車番号板は「589M」と読めた。

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 6輛編成の窓の明かりで駅は一瞬賑やかに照らされる。列車が出ると構内はまた元の暗闇に戻っていた。