転轍器

古き良き時代の鉄道情景

甘木

f:id:c57115:20211103074016j:plain

 甘木線太刀洗の陸軍飛行場への物資輸送のため急きょ建設され、昭和14年4月に開業している。終点の甘木駅は軍事、工場物資の輸送で広大な構内が広がっていたと聞く。飛行場跡地はその後キリンビール福岡工場が建設され、原料と製品輸送で貨物輸送は活況を呈し、昭和44年の鉄道ジャーナル誌で見た基山を発車する逆向きC11重連の貨物列車の写真が印象に残っている。
 国鉄時代に行ってみたかったが機会がないまま、気づいた時は第3セクター甘木鉄道に転換されていた。洋風の甘木駅駅舎は国鉄時代と変わらず円形のロータリーに向かってどっしりと構えていた。 甘木鉄道甘木 R1(2019)/7/15

f:id:c57115:20211103074208j:plain

 改札口からカーブした構内を見る。線路が収束する辺りに検修庫が見える。煉瓦の煙突が気になる。

f:id:c57115:20211103074248j:plain

 駅本屋からホームへのアプローチは屋根が設けられている。

f:id:c57115:20211103074329j:plain

 2番線はAR302がアイドル中。

f:id:c57115:20211103074354j:plain

 1番線は国鉄色のようなAR305。各車側面は大きな広告スペースが設けられている。

f:id:c57115:20211103074441j:plain

 異様に長いホームに圧倒される。石積みの造りは時代を感じさせられる。フェンスで仕切られた右側は広大な駐車場で貨物ヤードの跡地を整備したものと思われる。後方の味のある建物は食品会社の倉庫のようだ。

f:id:c57115:20211103074510j:plain

 振り返って高田方を見る。ホームはゆるやかな曲線を描き、左の駐車場は元の貨物ヤードで貨物ホームはまっすぐ駅舎の手前まで延びていたと思われる。

f:id:c57115:20211103074550j:plain

 42年前にタイムスリップ。線路端さんのホームページ「線路端の想い出」に『バス窓気動車』のページがあり、何とそこに甘木駅に停車するキハ20を発見し、感激のあまり画像の使用をお願いした。「基山ー甘木」のサボを掲げたキハ20102は佐賀機関区所属で単行で甘木線を往復していたものと思われる。 キハ20102〔門サカ〕 甘木線甘木 S54(1979)/3/5 撮影:東京都線路端さん

f:id:c57115:20211103074644j:plain

 独特な意匠の駅舎、ゆるやかにカーブしたホーム、終着駅とわかる駅名標、そして佇むバス窓のキハ20。忘れかけた懐かしの鉄道情景として心にしみる。 甘木線甘木 S54(1979)/3/5 撮影:東京都線路端さん