転轍器

古き良き時代の鉄道情景

大井町 東京タワーの見える景色

 東京では東京タワーの景色など当たり前であろうが、自分の撮った写真の後方にたまたま写っていたのは驚きであった。当時は東京タワーの存在の意識すらなく、往来するブルートレインや電車群を追いかけただけ、構図を考えるゆとりすらなかった。東京タワーが写っていたと気づいたのもつい最近で、撮影後48年経過していたのも驚きだ。

 20系から14系に置換えられた長崎・佐世保行1レ“さくら”がEF65528〔東〕に牽かれて大井町界隈を通る。 東海道本線品川~川崎 S49(1974)/10/17

 京浜東北線南行の行先は大船の他には桜木町、蒲田があった。「鶴見」行は度々お目にかかってはいない。パンタが先頭車に付いたスカイブルーの101系10輛編成が通る。 京浜東北線品川~大井町 S49(1974)/10/17

 大宮行103系10輛編成が大井町を後にする。北方向に蜃気楼のような東京タワーの輪郭が霞んでいる。
 大井町界隈で撮ったネガは肝心な獲物が架線柱や照明灯に遮られたりピンボケ等で現像することもなくネガ袋で眠っていた。ネガスキャンした後もフォルダを開くことはなかったが、最近になって改めて各コマを確認し、画像を拡大してみると列車後方に思いもしない東京タワーが写っていることに気づき驚いた次第。かつて行った、ネガをネガキャリアに挟んで露光、現像液の中でゆらゆらと現れる印画紙の画像に感激、そんなシーンを思い浮かべている。ネガだけ、サムネイルだけ見ても画の詳細は拡大してみないとわからない、という事を痛感した。