転轍器

古き良き時代の鉄道情景

瀬野八補機 丸みのあるEF59

 乗車した東行の夜行列車が深夜広島に着くと必ず行う動作があった。それは座席もしくは寝台で息をこらえて静止することである。編成後方で瀬野八越え補機を連結する振動を確認するためで、客車が少し動いたかのような衝撃が伝わる時と、まるで気づかないわずかな振動だけの時もあった。広島から瀬野、西条にかけてはEF59の生息する地域として眠くても夜景から目の離せない魅惑の区間であった。

 国道2号線を通った際、瀬野駅西側の引上線にEF59重連が停まっていたのでカメラを向ける。下り貨物列車の向こうに西日を受けるEF5923の丸っこい車体が見えた。

 EF56改造のEF5923はEF53改造の角ばったEF595と手を組んで瀬野八越えの後押しを行っていた。 瀬野 S54(1979)/2/6

 昭和55年11月時点で瀬野機関区のEF59は13輛が在籍し、そのうちEF56から改造された丸みのある車体はEF5921だけになっていたようである。補機の後継機としてEF60を改造したEF61200番台が増備されてEF59は凋落の一途を辿っていた。
 ゼブラ模様が施され独特な風貌の2エンド広島側から EF5921〔瀬〕

 EF5921は昭和44年12月にEF562から改造されている。EF56とは縁がなかっただけに丸みのある車体のEF59と会えたのは幸運であった。 瀬野機関区 S57(1982)/8/18