転轍器

古き良き時代の鉄道情景

80系湘南電車の印象

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 80系湘南電車が東海道本線を走っていた時に何度が乗車したことがある。乗車待ちのホームで迎えるオレンジとグリーンの中間車の車体は何故かぶどう色の客車を見るようで、ウインドシル・ウインドヘッダーが付いているとなおさらであった。車内が混みあっていればデッキに立ち、その様はドアは閉まるものの、まるで客車のデッキにいるような錯覚を覚えたものだ。残念ながら写真は撮っていない。線路端さんのホームページ「線路端の想い出」を閲覧した際に、まさしく私が乗車したきれいな編成の写真が掲載されていたので、お願いして写真をお借りした。ホームページのキャプションから、ブルートレインの時間帯で“あさかぜ”や“富士”の合間に出会ったらしく、この電車は東京から沼津行327Mで下る前段運用で平塚発品川行870Mとのことであった。 東海道本線川崎~横浜 S50(1975)/2/19 撮影:東京都線路端さん

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 撮影時の山陽本線西部は前面3枚窓や長方形2枚窓のクハ86、サハ87改造のクハ85もいてバラエティに富んでいた。小野田で見たクハ86は全金属ノーシル・ノーヘッダーの300番台であった。岡山・広島・下関の基地に115系はまだ進出していない。 クハ86328〔広ヒロ〕 山陽本線小野田 S52(1977)/8/8

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 ウインドシル・ウインドヘッダーの車体が客車のようにに思える。号車札差しと愛称札差し、サボ受けの位置、ドアのタイプなど2輛並ぶと違いがよくわかる。  山陽本線小野田 S52(1977)/8/8

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 小郡発糸崎行の80系6輛編成が発車待ち。向かいのホームは1時間後発の快速広島行153系がすでに入線していた。3枚窓のクハ86は前面手すりの位置や数、前照灯の高さ、ウインドシル・ヘッダーの有無などさまざまなパターンがあるようだ。 クハ86015〔広ヒロ〕 山陽本線小郡 S52(1977)/8/8

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 クハ86初期形は丸みのある3枚窓でなんとも愛嬌のある顔に映る。Hゴム支持の前面窓は間隔を保って配置され、テールランプとタイフォン、ジャンパ栓のラインは横一列に揃っているように見える。 下関運転所 S49(1974)/5/2

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 昭和48年の配置表を見ると山陽本線の80系は岡山と広島に配置されていた。クハ85の配置数は岡山運転区3、広島運転所10と記載されていた。 下関運転所 S49(1974)/5/2

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 信越本線で会ったクハ85はスノープラウを付けていた。 クハ85101〔長モト〕 信越本線小諸 S50(1975)/6/15

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 EF63重連に押されて碓氷峠を登り終えた長野行80系電車は補機解放の準備が行われている。 クハ85301〔長モト〕 信越本線軽井沢  S50(1975)/6/15

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 白糸川橋梁上でEF65率いるコンテナ編成と行き交う東海道本線下り東京発沼津行327Mの80系12輛編成。東海道本線京口の80系は昭和52年3月で姿を消している。 東海道本線真鶴~根府川 S51(1976)/2/7

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 伊東線来宮のホームから東海道本線の80系ローカルを見送る。クハ85はサロ85やサハ87からの運転台取付改造車で、写真のクハ85はサハ87改造のクハ85300番台と思われる。 東海道本線熱海~函南  S51(1976)/2/6

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 ブルートレインを待っていた時に現れた80系電車。側道から望遠で狙うも林立する架線柱に阻まれてかなり無理があったと思う。この電車はたぶん平塚発品川行870Mと思われる。後方の横浜線は73系がちらりと写って、当時貴重な旧形国電には目が向いていなかった。 東海道本線川崎~横浜 S49(1974)/10/15

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 80系7連の回送が豊川放水路橋梁を渡る。名古屋ローカルは大垣電車区の80系で運用されていたが、113系の投入で昭和52年3月までに姿を消している。 東海道本線豊橋西小坂井 S51(1976)/3/26

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 古いタイプの80系と名鉄パノラマカーの出会いはまるで模型の線路上での光景のようだ。 大垣発豊橋行524M 東海道本線豊橋西小坂井 S51(1976)/3/26

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 大垣発豊橋行の後追い。編成両端はタイプの違うクハ86で組まれていた。 東海道本線豊橋西小坂井 S51(1976)/3/26

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 静岡発米原行1527Mは静岡県・愛知県・岐阜県滋賀県をまたいで265.7kmを走る80系の長距離鈍行であった。県境を眺めると、東海道本線で熱海から鷲津の先、新所原までが静岡県豊橋のひとつ手前、二川から尾張一宮の先、木曽川までが愛知県区間高山本線分岐の岐阜から関ケ原まで岐阜県、柏原から米原、大津までが滋賀県区間である。地図上の旅も楽しいものだ。 東海道本線豊橋西小坂井 S51(1976)/3/2