転轍器

古き良き時代の鉄道情景

大分・下郡で出会った客車 オハフ33きのこ折妻

 オハフ33を目前にして丸屋根ではない、かといって完全切妻ではない独特な端面を持ったクルマに違和感を感じ何コマか観察のシャッターを押す。

 車体端部は雨樋の継目部分を境に屋根は車幅と同じ、下は出入台部分の幅が狭まり、正面から見ると妻板の形はきのこの形に見える。妻面は緩やかな角の付いた三面構造なので「きのこ折妻」と呼ばれている。

 少し構内に立入って1位寄りから見る。側面からの樋と縦樋の継目がおもしろい。縦樋は丸形となって角度をつけ、取付金具に留められて下へ伸びている。妻板の幅は車体幅よりかなり狭いのがよくわかる。

 「国鉄製鋼客車」(岡田誠一著/JTBパブリッシング)から昭和22(1947)~24(1949)年に登場したオハフ33(347~606)は全てきのこ形折妻車ということを知る。撮影のオハフ33597〔分オイ〕はまさにそのグループであった。 下郡 S51(1976)/3

 銘板は①東京/日立製作所/昭和23年、②日本国有鉄道、③更新修繕/幡生工場/昭和31年、の3枚が貼られている。「鉄道ピクトリアルNo.750」に掲載されたオハ35系客車車歴表で597号を探してみると落成は日立製作所で昭和23(1948)年6月9日、配置は長崎、廃車は昭和54(1979)年11月1日、大分であった。長崎の新製配置以降は鹿児島、都城と移動し、昭和48(1973)3月以降大分へ辿り着いたようだ。

 オハフ33474〔門モコ〕の3位側は梯子が設けられ、鋼板屋根上は把手が見える。窓枠はサッシ化されているが出入扉は旧来のままのようだ。 下郡 S51(1976)/3

 出入台部分の妻面が狭められたきのこ折妻の形状がよくわかる。 オハフ33442〔門モコ〕 大分 S56(1981)/2/15

 オハ35改造で和式客車オハ80、グリーン車格上げでオロ80になった車輛を撮っていた。片方の出入台が埋められているがきのこ折妻の雰囲気がよくわかる。この時撮った写真とその後撮ったオハ35系が関連していたことは最近になって認識したことだ。 オロ802008〔長ナノ〕 野辺山 S50(1975)/6