転轍器

古き良き時代の鉄道情景

二島感慨

 原田発若松行728レに折尾から乗車した。10輛以上つながった長い編成に感動したのを憶えている。この列車は6輛編成で原田を出て、飯塚で増結されたものと思われる。飯塚までは急行“天草”の補機となる逆向きD60が付く注目の列車であった。

 そんな事は何も知らずに初めての筑豊本線に感激し複線の線路を注視する。折尾を出ると進行左手に1線が加わって本城信号場まで3線となり驚いてしまう。鹿児島本線上り方から折尾駅をかすめる短絡線は室木線列車の通り道であることは知っていたが、北九州市の大塚孝さんから『室木線列車の他、荒尾・大牟田発二島・若松行のD51牽引の貨物列車、東折尾~若松間の小運転列車・単機回送、若松工場で解体される車輛の回送にも使われた』とお聞きし、鹿児島本線下り列車が折尾でスイッチバックして若松へ向かうルートもあることがわかった。

 曲線上に設けられた二島駅を発車したところだろうか、ちょうどそこへ29692〔若〕が牽く下り貨物がやって来た。デフ無しで継足しの長い化粧煙突のキュウロクは写真写りの悪さも相まってかなり昔の姿ように映る。駅構内の交換ではあるが複線区間の蒸機列車同士の、それも走行中のすれ違いに興奮した。 筑豊本線二島 S45(1970)/8/3

 煙をはいて出て行く機関車はC5552〔若〕だった。 折尾 S45(1970)/8/3

 ホラ100形式500番台はガラス原料となる珪砂を運ぶためにセラ1から改造され、見た目石炭車であるが屋根と屋根扉が設置され、珪砂専用となった。二島にある日本板硝子若松工場の専用線に運用されたものと思われる。 豊前川崎 S51(1976)/9/20