転轍器

古き良き時代の鉄道情景

久保田

 長崎本線久保田は蒸機時代に上り列車で通ったことがある。あまり記憶には残っていないが、進行方向右側の席だったので駅本屋側の景色しか視界にはなく、もし進行左側の広大なヤードを見ていたら目に焼きついていたにちがいない。当時大きな駅の貨物ヤードは何本もの側線に長い貨車の列が並んでいるのは当たり前の風景だった。蒸機時代に撮られた久保田駅の写真を見ると唐津線に運用されるであろう冷蔵車がたくさん留置されていたのが印象的であった。

特急が通過する下り線を見る。上下線の間隔が間延びして開いている。そう、かつては退避の貨物列車が入る中線があった。今は残念かな旅客3線だけのシンプルな配線になっていた。

唐津線列車が入って来た。3番線の外側に広大な貨物ヤードが広がっていたが、かつての面影は全く残っていない。以前からこのような景色だったと言われても疑う余地のない自然さにむなしさが残る。かろうじてキハ125に挟まれた国鉄時代のキハ47にノスタルジーを覚えるのは私だけか…。 長崎本線久保田 H25(2013)/11