転轍器

古き良き時代の鉄道情景

日南5号


 高城駅の改札口から構内を見る。6輛編成の急行列車が運転停車している。車掌が対向列車の接近を待っているように見える。撮影時、日豊本線の列車体系はL特急の“にちりん”を始めとして、急行は475系の大分系統“ゆのか”、宮崎系統“日南”、そして気動車の鹿児島系統“錦江”で区分されていた。“日南”は5往復の設定で、3電車、1気動車、1夜行客車の内訳であった。南宮崎西鹿児島間はまだ未電化だったので、別府〜西鹿児島間の“日南”は下り5号上り4号は気動車で運用されていた。別府発西鹿児島行505D“日南5号” 日豊本線高城 S54(1979)/1

 なにげなく撮ったコマに蒸機時代によく見た寸景があった。本屋の差掛け屋根の下に置かれたリヤカーは郷愁を誘われる。客車列車に連結された荷物車への積み降ろしに使われたのであろう。側線には役目を解かれた6輛のED74がつながれていた。

 対向列車の特急“富士”が通過する。“日南5号”は進路の開通を待って一路西鹿児島をめざす。高城構内のホーム両サイドの側線は休車、廃車車輛の留置に使われていた。