転轍器

古き良き時代の鉄道情景

安治川口

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 少年時代、駅に停まった貨車の車票を見ていて「安治川口」と書かれた札が目に入り、そこはどの地方のどこにあるのかとても気になっていた。いつ解決したかは覚えていないがそこは桜島線の西九条からひとつめ、ということがわかりいつかこの目で見てみたいと願望を抱いていた。貨物列車の行先は不思議な魅力があり、行ったことのないまた聞いたことのない駅名に何ともいいようのないロマンを感じていた。「周防富田」、「百済」、「笹島」、「小名木川」などは最たるものであった。
  大阪の鉄道路線で気になる箇所、それは吹田と竜華の操車場を始めとして、阪和貨物線が分岐する杉本町、吹田操車場の城東貨物線が合流する所、大阪市場に行く線路、放出の貨物線と淀川電車区への配線、百済駅のある場所等々、魅惑の鉄道地帯が多数存在していた。幸い大阪出張の移動の際にこれらの謎は先頭車の展望で解決することができたが写真に撮ることはできなかった。
  一度はこの目で見ておきたかった「安治川口」。時代はすでに平成になっていたのでかつて親しんだワラやワムの姿はなくタンク車ばかりが広い構内を埋めつくしていた。帰りの新幹線を1本遅らせて何としても実見「安治川口」を実践した。 桜島線安治川口 H5(1993)/5