転轍器

古き良き時代の鉄道情景

杵築


 杵築駅を高い位置から俯瞰する。かつては何もない空中であったがこの位置に橋が架けられたためこの角度の写真が撮れることとなった。平成3年に地域高規格道路大分空港道路が開通、その際杵築駅と八坂川を一気に跨ぐ道路橋が建設された。技術の進歩というか、かつては考えられなかった台地と台地を天高くつなぐ高架橋はまるでジオラマのようでもある。高規格道路なので人は通れず自動車だけの通行である。乗用車では防護壁で下を望むことはできず、そこで案じたのがここを走行する高速バスからの眺めである。案の定ハイデッカーからの視界は良好であったが、高速走行でしかも山と山との間の一瞬を捉えなければならない。列車が止まっていれば良かったのであるが現在の配線を垣間見ることができた。駅本屋側貨物側線の跡は保線施設で国鉄時代の面影が見てとれる。山側のヤードは下り寄りが本線から切断されていた。かつてはその先にオレンジセンターと呼ばれた柑橘出荷のヤードが続いていたと思う。そしてもっとさかのぼれば大分交通国東線杵築車輛区が置かれ、安岐・武蔵・国東方面への国東線の乗換駅でもあった。昭和40年代初頭、国鉄線のホームからは大分交通の黄色と緑色の塗分けの古めかしい車輛が見えていた。  日豊本線杵築 H27(2015)/9                              (湯布院行空港リムジンスーパーハイデッカー車内から撮影)