転轍器

古き良き時代の鉄道情景

滝尾入換一部始終

 当時の列車撮影は通過時刻ぎりぎりに線路端へ行くのが常で、前もって構図を決めるなど皆無であった。一連の入換作業を記録できたのはたまたま早めに駅へ行き、また交換列車の待ち時間があったからではないかと思っている。入換を撮ろうと意識していたわけではなく行き当たりばったりの結果であった。

f:id:c57115:20200806180441j:plain

 69699〔熊〕が牽いて来た下り795列車の貨車はワム80000+ワム90000+ワム80000+ヨ5000の短い4輌編成であった。滝尾駅は島式ホーム1面2線の上下本線と1本の貨物側線だけの簡単な配線である。石積みのホームと青地に白ぬきの駅名琺瑯看板、バラスの薄い側線に停め置かれた有がい車がよき時代の鉄道情景を演出している。 豊肥本線滝尾 S45(1970)/11

f:id:c57115:20200806180647j:plain

 荷重15トンのワムの影から入換が始まるのを待つが機関士が降りてきてしばらく始まりそうもない。構内の線路敷設の様子は本線と側線で全くちがうのがよくわかる。

f:id:c57115:20200806180840j:plain

 キュウロクのサイドをじっくり眺めると太いボイラに小さな動輪のアンバランスがよくわかる。バランスウエイトは各軸でサイズが異なっているのも改めて認識させられた。

f:id:c57115:20200806180548j:plain

 豊後竹田行快速“祖母”が通過するまでは69699〔熊〕は身動きできない。上り本線を4輌編成の“祖母”が通過して下り向きに進路が開いて入換開始となる。 795レ待機 1746D通過 豊肥本線滝尾 S45(1970)/11

f:id:c57115:20200806181014j:plain

 69699〔熊〕は本線から貨物側線に後退し、留置していたワム136340(ワム90000)とワム62212(ワム60000)を勢いよく牽き出して本線上へ出る。

f:id:c57115:20200806181059j:plain

 本線上にワム60000だけを置いて再びワム90000を側線に戻す。写真はワム90000を開放して本線に戻り、滝尾発送のワム60000に連結、そのまま押して本編成につなぐところである。4輌で来た編成は1輌足して5輌で終着大分へ向かうことになる。

f:id:c57115:20200806181147j:plain

 滝尾入換は側線2輌のワムのうち、後位側のワムを本編成へつなぎ、前のワムは再び側線に戻す簡単な作業で終了した。滝尾発送ワム62212の中は何が積まれどこへ運ばれて行くのであろうか。そしてまた再び停め置かれたワム136340は何の荷物を待ち、いつ出て行くのであろうか。 795レ 豊肥本線滝尾 S45(1970)/11

f:id:c57115:20200806181230j:plain

 795列車は終着前、最後の駅の解結を済ませて一路大分へ向かう。編成の締めくくりは「大」の所属標記の入った4個窓のヨ5000であった。 豊肥本線滝尾~下郡(信) S45(1970)/11