転轍器

古き良き時代の鉄道情景

思い出の別府湾

 ■別府湾春霞
 仏崎トンネルの山の斜面からは風光明媚な景色が広がっている。桜満開の街道沿い、急傾斜で海に迫る高崎山も桜色の装い、山すその海べりを走る鉄路、湯の街別府の遠景、どれも春霞に煙る別府湾の絶景として記憶に刻む。
 日豊本線東別府~西大分 S61(1986)/4/14 写真:由布院電吉さん

 仏崎トンネル手前は上下線の間隔が少しずつ広がっている。非電化単線時代の仏崎信号場の痕跡がうかがえる。桜咲く線路端のグランドではゲートボールを楽しむ人たちの横をブルートレインが駆け抜ける。 7レ“富士”

 L特急“にちりん”は博多・小倉・別府~大分・宮崎・西鹿児島を結び、18往復が運転されていた。列車番号は博多系統5000番台、小倉系統3000番台で下2桁は下り奇数、上り偶数で順序よく昇順に揃えられていた。 小倉発西鹿児島行3017M“にちりん7号”

 宮崎~大分間通しの各停は3往復が健在であった。大分発杵築行7532Mは宮崎6:14発大分10:52着の約4時間40分を要した2530Mの継続運転で期間限定運用であった。

 ズームインすると線路と道路のカーブが強調され、高崎山が迫り、山のすそ野に広がる別府の街並みが迫力を増す。眼下はキハ65 2輛組込みの601D“由布1号”がエンジン音を響かせて通り過ぎる。

 

 ■別府湾冬模様
 別府湾の表情は季節によって大きく変わる。冬の澄んだ引き締まった空気は遠く湯の街別府の湯けむりまでも鮮やかに映し出してくれる。海の色も心なしか寒色に映る。
 日豊本線東別府~西大分 S60(1985)/12/5 写真:由布院電吉さん

 別府発三角行704D“火の山4号”は東海岸の別府湾を望み、豊肥本線で九州の屋根を横断、西海岸は島原湾を見渡して三角へ着く。車窓絶景続きの4時間17分の旅。

 415系・423系の門司港~大分間通し運用は下り6、上り7本(内1本は下関まで)が運転されていた。この時期は日豊本線と関門トンネルを介して下関・小郡を結ぶ列車も健在であった。 531M

 ボンネットクハ481の大分発小倉行3022M“にちりん12号”が田の浦海岸のS字カーブを行く。岬を回るカーブの先はブルートレイン“富士”を牽く赤い機関車の顔がのぞいている。

 かつての仏崎信号場の跡を下り西鹿児島行“にちりん7号”と杵築行普通電車が離合する。別府湾の景色は非電化単線時代からは線路増設、道路拡幅、ビル群の街並みで変貌を遂げているが美しい山容は変わっていない。