転轍器

古き良き時代の鉄道情景

中津の残影

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 他界した父親が遺したネガから中津駅で撮ったスナップを発掘する。そこには車輛を撮ったものではないが、キハ105“せせらぎ”+ハフ14の列車が写っていた。当時の耶馬渓線は気動車がトレーラーを牽く、いわゆるD+T、D+T+Dの編成が当り前に走っていた。ハフ14は、「鉄道ピクトリアル私鉄車両めぐり8」(鉄道図書刊行会/昭和42年7月刊)によると車体長7mの2軸車で宇佐参宮線からの転属車ということであった。あまりにも過小のため昭和41年夏頃から休車になったとのことで、この写真の撮影日時は昭和40年冬から41年春の間と推測する。

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 現役バリバリのキハ105“せせらぎ”がとても美しく見える。運転席の流線形のラインからまっすぐに伸びるバックミラーがとても印象的。列車は耶鉄柿坂行だろうか、守実温泉行であろうか。ハフ14のサボは羅漢寺行と読め、付随車を羅漢寺で切離す運用と思われる。 国鉄中津駅3番線

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 キハ105“せせらぎ”とキハ50“ちどり”が仲良く手をつないで廃車後の時を過ごしている。手前のキハ105から大胆に伸びるバックミラーのステイはあの頃の残影として心にしみる。 大分交通中津車輛区 S47(1972)/1/6