転轍器

古き良き時代の鉄道情景

ウインドウズXPのエクセル画面 車輛の動き

 ウインドウズ95やウインドウズ98が登場して、それまでワープロで作成していた文書や表計算は画期的な変革を遂げるようになった。趣味のアルバムのテキストはワープロが常であったが、パーソナルコンピューターに置き換わったのはウインドウズ95、98、2000、MEを経たウインドウズXPの時であった。取扱い説明書があるわけではないので、エクセル画面上部に並んだアイコンをクリックし、それがどのような機能を持っているのか試行錯誤が続いた。エクセルのフィールドにデータを入力し、そのデータは並べ替えができることを知り趣味の作業に生かせるのではないかとヒントを得た。

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 今となっては懐かしいウンドウズXPのエクセル画面。上部のボタンが並ぶリボンと呼ばれる部分は現在の機能が分類されるタブ構造と違い、ひとつの画面に用途が集約されていた。エクセル事始めがこの画面で必死に覚えたので、ウンドウズVista以降のバージョンに慣れるまでにかなりの苦労を要した。
 趣味での使い方は以下の通りである。手持ちの鉄道趣味誌の“車輛の動き”から九州管内の動力車をアトランダムに入力する。ある程度溜まると「データの並べ替え」で日付ごと、形式ごとに仕分けして動向を探る一助とした。あくまでも自分の買った雑誌なので、抜けもあるし掲載されない場合もあって完璧なものではないが、ある程度の流れは見てとれた。各月毎に発表されるデータはそれだけ見れば“点”の視点も溜まって流れができると“線”となって動向がより鮮明に見えてくるのがおもしろい。

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 たとえばD51の南延岡関連を日付順に抽出してみる。廃車と廃車補充転属の流れが見てとれる。転出元の電化・DL化や合理化、機関車の需給関係などの事由が探索できる。九州管内は吉松・人吉・出水・熊本・鳥栖早岐・門司の各機関区が名を連ね、遠くは一関・横手・秋田からの罐もあり、短いスパンでも興味はつきない。

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 日付順に並び替えた9600のデータを見る。最後まで残った北九州の若松・直方・後藤寺・行橋の9600は、DE10の落成や転属状況に呼応して数を減らしながらも未だ健在であった。佐賀線と唐津線で活躍した西唐津の9600は昭和48年夏で無煙化され、同時期に鳥栖早岐に新製DE10が配備されている。豊肥本線宮地以西に残った熊本の9600は48年春に煙は途絶え、筑豊から来た19680と熊本生粋の69699・79602は渡道し北海道仕様となって蒸機最終まで稼働した。

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 「蒸気機関車(キネマ旬報社)」誌に掲載された8620番号順配置表をエクセル入力し、配置区別に並べ替えた。一覧で見ると詳細はつかみにくいが並べ替えると管理局ごとの明細が見えてくる。昭和36年、規模の大きな駅やヤード、操車場は8620で賄われ、門鉄は筑豊を始めとして長崎・佐世保・筑肥・唐津・松浦の各線、分鉄は久大・豊肥・日豊・細島線、熊鉄は肥薩・湯前線、鹿鉄は日豊・吉都線で運用されていたものと思われる。

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 蒸機消えゆく頃のDD51の配備状況を番号順に並べている。重連総括制御の500番台・700番台が鳥栖早岐に投入され鹿児島・長崎・佐世保線で運用されていた。鹿児島本線で会った旋回窓を装備したDD51は、遠路北海道からの転属車であろう。熊本配備は肥薩線無煙化用と思われる。筑豊本線日田彦山線ではDD51との遭遇は稀で、直方と門司の増備はこれ以降であろう。

 ウインドウズXPの時代は今のような高速で豊富なWEB情報が溢れる前だったように思う。エクセルが使いこなせるようになったあの頃のほんの“お遊び”であるが、日頃目に留まらないフォルダにデータが残っていたので改めて開いてみた。