転轍器

古き良き時代の鉄道情景

79653

 豊肥本線の9600はねぐらを宮地機関から熊本機関区に移して同ナンバーが継続して使われていた。79653は当初のメンバーではなく廃車補充として昭和44年4月に香椎から転属して来た機関車であった。約4年間豊肥本線で働いた後、昭和48年の無煙化の際遠く北海道へ旅立って行った。

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 79653〔熊〕は短い化粧煙突が特ちょうで遠目からも判別は容易であった。決まり事のように架線注意標識は2箇所に付けられている。デフに直接付いた手摺りは他機では例がなく門鉄時代の仕様であろうか。 熊本機関区 S47(1972)/3/29

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 この角度から見る右サイドはとても格好良く見える。動輪のバランスウエイトは極端に浮き出ているように見えてまるで模型機関車のように映る。デフに付いた手摺りが良くわかる。 熊本機関区 S47(1972)/3/29

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 熊本機関区の9600は昭和44年時点で9輌(39688・59653・59670・69616・69634・69665・69699・79602・79608)が配置されていた。46年時点では39688・59653・69634の3輌が廃車になって替りに39680(香椎から)・69680(高崎一から)・79653(香椎から)が加わって9輌体制は変わっていない。新しいメンバーとなった79653〔熊〕が収穫の秋を迎える平野を行く。 794レ 豊肥本線滝尾~下郡(信) S44(1969)/10/6

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 黄金色に輝く稲穂の向こうを熊本からの貨物列車が下って行った。来年のこの収穫の時期も9600の牽く貨物列車は健在だろうかと疑念を抱きつつシャッターを押す。 795レ 豊肥本線滝尾~下郡(信) S44(1969)/10/12