転轍器

古き良き時代の鉄道情景

鉄製有蓋車


 蒸機時代、テ、テム等の名前を持つ貨車はよく見かけていた。一番よく見るワムと違って、屋根と側板に継ぎ目のない形が何とも独特な雰囲気を醸し出していた。側扉はX補強のリブ、妻面は丸屋根に縦2本のリブが表情を作って愛らしい貨車といった印象がある。バイブルとして大切に持っている「国鉄客車・貨車ガイドブック」(誠文堂新光社/昭和46年6月刊)からテム300のページを一部抜粋すると、「テム300形式以前に製作されたものに12t積のテ1000、テ1200、15t積のテム100の各形式があったが2段リンク改造によりテ1000はテ1200に、テム100はテム300にそれぞれ改称された」とあり、かつて見たテの付く鉄製有蓋車は車長の短いテ1200と通常サイズのテム300の2通りがあることがわかった。

 自分がテムと思い込んで撮ったこの車は車長の短い12t積のテ1200であった。イラストのテム300はテ1200を両サイドにワンスパン分引き伸ばしたように見え、車長の違いがよくわかる。かつて津久見駅本屋側の貨物側線ではセメント袋の山と石灰で白くなった貨車がたくさん停まっていたのを思い出す。 テ1347 形式テ1200 分 津久見駅常備 大分 S45(1970)/9