転轍器

古き良き時代の鉄道情景

2019-01-01から1年間の記事一覧

湧網線

湧網線は湧別~網走間94.7㎞のローカル線で旅客6.5往復、貨物1往復が設定され、遠軽機関区の9600とキハ22が運用されていた。1991列車は中湧別12:10発、網走16:20着のダイヤで湧網線を約6時間かけて走っていた。夕陽さす網走西部はずれの場内信号機脇を49699…

網走西部3線区間

網走西部呼人寄は3本の線路が並んでいた。手前から湧網線、石北本線、そしてC58のいる線は当時は引上線と思っていた。後にこの3本めの線は、「国鉄全駅各駅停車①北海道690駅」(小学館/昭和58年刊)に記載された線路配線図から浜網走貨物駅への出入線という…

北見客貨車区網走支区

国鉄車輛配置表に掲載された運転関係業務機関の中にある客貨車区の欄を見ると、北見客貨車区の支区は遠軽と網走があることがわかる。網走駅裏の山手側のヤードに「支区」という名にふさわしい小さな庫があった。そこにはC58やDE10、キハ22が佇んでいた。模型…

網走

網走は石北本線、釧網本線、湧網線が集まるオホーツク海沿岸の鉄道の要衝で、石北本線旭川からは237.7㎞、釧網本線釧路からは169.1㎞、湧網線湧別からは97.4㎞の所に位置している。趣きのある駅舎に魅了されて撮ったスナップは駅前広場の車と人の動きがあっ…

タキ14800

タンク車の列に1輛だけ背が高くタンク体が太い威容を誇る車に目が止まる。「カプロラクタム」という聞いたこともない名前の物体はナイロンの原料ということらしい。車体標記の「90」は化成品分類番号で、積荷の性質を表すために標記が義務付けられている。 …

十字街

函館市電は、青函連絡船に乗船するまでの時間に夜の繁華街を散策した際に撮ったものと記憶している。3系統が集まるデルタ線が敷かれた十字街に現れたのは808号であった。方向幕は「駒場ー3-ドック前」とあり、駒場車庫前と函館ドック前を往復するものと思わ…

3複線

小倉駅東側、砂津川を渡る界隈は線路が複雑にからみあう魅惑の鉄道地帯であった。画面手前の高架線は鹿児島本線下り旅客線、奥が貨物線の複線、地平手前右の複線は日豊本線で、高架線の谷間に鹿児島本線上り線が通っている。貨物線はカーブの先で上下線が離…

湯平 その後

宮原線撮影の帰途に湯平駅に立寄ってみた。客車は50系に置換ったもののDE10牽引列車の本数は昭和53年10月時点と同本数で運転されていた。駅はかつての面影は消え失せ、すっかり変わり果てていた。信号機が自動化される前にはなかった中継信号機や出発反応標…

湯平 昭和39年頃

父親が遺したネガに鉄道ものがないか捜索した結果、昭和39年頃に撮られた人物写真の背景に湯平駅の様子が写っているものを見つける。煤煙が付いたトンネルポータル、山を越える多数の通信線電柱、腕木式信号機、枕木で組まれた倉庫などは鉄道全盛期の構図と…

湯平

湯平駅は大分川河岸段丘の急峻な谷間のわずかなスペースに設けられた湯平温泉の玄関口で急行停車駅である。本屋寄り下りホームから広がる風景は、背後の細道脇に建つ道路案内と「警笛鳴らせ」の道路標識、構内の電柱兼用の外灯、線路沿いに這う信号連動ワイ…

野矢の交換

「鉄道ジャーナル昭和44年9月号」は西武鉄道のE851電気機関車が表紙を飾っている。この表紙と連動して記憶しているのがD50・D60の記事で、久大本線の事を調べる際はこの表紙の本に手が伸びるくらいに当時の記憶が未だに継承されている。筑豊本線と久大本線の…

小野屋駅の思い出

▮昭和45年 昭和45年夏、D60最後の活躍をフィルムに収めようと小野屋を訪れる。小野屋駅西側は大分川に合流する小川を渡る新連川橋梁と小野屋トンネルが見える絵になる場所であった。迎える列車は不定期の貨物列車で、来る、来ないは時の運、小雨降る中ひたす…

ながさき

昭和51年3月、門司港~大村線経由長崎間の夜行鈍行に、北海道の“からまつ”・紀勢本線の“南紀”と共に“ながさき”と愛称名がつけられた。上り門司港行“ながさき”のダイヤを追ってみると長崎23:00発、諫早から大村線に入り、早岐1:05着。佐世保発の2輛を足して早…

スハネ1662〔門サキ〕

スハネ16はスハ32系客車の台枠を使って10系寝台車の車体を載せてオハネ17として誕生、冷房装置の取付で重量が変わりスハネ16と形式変更された経緯がある。九州管内では竹下・鳥栖・長崎・早岐・大分に配置があった。スハネ1662〔門サキ〕は昭和36年7月の誕生…

かいもん

門司港~西鹿児島を結ぶ夜行“かいもん”は昭和43年10月に登場、昭和53年3月までは10系寝台車で運転されていた。夜行急行列車の新しいパターンが53年3月から実施され、20系寝台車2輛+12系座席車5輛の編成に近代化される。ナハネフ22のテールサインは白地に「…

第3只見川橋梁

学生時代、初めて同好の士と共に有名撮影地を訪ねる機会を得る。筑豊や日豊が本拠地の私は東日本の地は全くの門外漢で旅先案内人に連れられて「只見川第3鉄橋、SL撮影地、天狗岩」の看板が建つお立ち台に到達した。只見線は只見川沿いの深い峡谷を走り、数々…

京都市交通局10系

近鉄京都線を天理方面行の電車の先頭車で全面展望を楽しんでいた。木津川の鉄橋を渡ってしばらく進むと進行右側から渡り線が出てきて車輛基地のある大きな駅が見えてきた。近鉄線なので行違う電車は赤と白のツートン、もしくはオレンジと濃紺の特急電車が当…

ED731008

九州の電化は昭和36年の門司港~久留米間が始まりで、赤い機関車はED72とED73が登場、ED72はSG搭載の旅客用で22輛、ED73は貨物用で22輛、合計44輛でスタートした。ED73は昭和43年から44年にかけて高速列車100km/h運転に備えて1000番台に改造され、赤い車体に…

マヤ34

たまたま駅に立寄った際にマヤ34と出会う。当時、マヤ検の情報などあろうはずはなく、希少な車輛との邂逅は時の運であった。儀礼的なスナップも時の流れとともに忘れ去られ、画像を見ても撮った時のことは思い出せないでいる。時は既にJRになっていたので後…

“日南4号”車窓

夜行“日南”の全盛時代、昭和40年代は10系寝台と座席車を連ねた、関西と宮崎を結ぶ花形列車であった。新幹線が博多まで開通した昭和50年3月、運転区間は九州島内に改められるも、編成はスハネ16やナハ10、オハ47等で組まれ未だ全盛期の面影をとどめていた。転…

べっぷ3号

昭和44年の対関西日豊本線の夜行急行は、宮崎系統“日南”、大分系統“べっぷ”で運転されていた。“日南”は寝台1、座席2往復(内1往復は季節)、“べっぷ”は寝台2、座席1往復でいずれも季節列車の設定であった。“べっぷ”は客車2、電車1の内訳で次のように運転され…

オエ7032

転車台から延びる放射状の機留線に運用間合いのD51485〔延〕が止っている。正面からは枕木の山に邪魔されて撮れないので後方に回ってきたものと思われる。何を撮りたかったのかわからない中途半端な写真に古い客車が写っていた。「大分運転所救援車」と標記…

高千穂橋梁

神話の里、高千穂に鉄道が到達したのは昭和47年7月のことであった。それまでは延岡~日ノ影間を日ノ影線と呼ばれ、その名前を親しんでいたが、高千穂延伸を機に線名は高千穂線と改められた。新線は旅客営業だけ、5往復の気動車で運転された。この時南延岡機…

C5717

全盛期21輛もの多きを擁した大分運転所のC57は、幸崎電化後は7輛に激減、ヨンサントオのED74転入時にはわずか2輛になっていた。残った2輛は17と53で、佐伯1往復の仕業であったので昼間はどちらかが必ず扇形庫で眠っていた。昭和43年夏に初めて買った「鉄道ピ…

急行“ゆのか”

“ゆのか”は博多ー日田ー別府ー博多と九州半周する循環急行であった。日豊本線幸崎電化の1年後のヨンサントオで“ゆのか”は電車化されて運転区間は博多ー小倉ー大分に、久大本線部分は“由布”として博多ー日田ー別府に分割され、区間と愛称名が分けられた。撮影…

奈良

奈良駅で途中下車した際に撮った写真が残っている。奈良の印象は、関西都市圏でありながら地方都市のような閑散とした駅前風景が記憶に残ってはいるものの、寺院風の駅舎や奈良運転所の大規模な扇形庫は鮮明に浮かんでこない。団体行動でゆっくり構内を観察…

北九州市戸畑区幸町

鹿児島本線戸畑駅近くの幸町は戸畑線から枝光線が両方向に分岐するデルタ線が敷設されていた。幸町から3方向に①折尾方面→筑豊直方、中央町→門司②大門→門司③戸畑の各方面行が設定されていた。製鉄所の地元とあって幸町デルタは活気に溢れ、人の波がとぎれるこ…

ED421

信越本線や碓氷峠のことは趣味誌や写真集、また文学作品や紀行文で数多く採りあげられているので、自分の中では良く知っているような錯覚を起こしている。実際に列車で峠を越え、横川駅前に鎮座しているED421を初めて見た時、誌上の知識だけでは味わえない臨…

小海線

小海線は中央本線小淵沢と信越本線小諸を結ぶ78.9Kmの高原鉄道で、C56が牽く通風車や白い冷蔵コンテナが入った短い編成の貨物列車がイメージとして浮かぶ。小海線を訪れた昭和50年はハイカー達で満員になる新宿発EF64牽引の客車列車も健在の時代であった。「…

安治川口

少年時代、駅に停まった貨車の車票を見ていて「安治川口」と書かれた札が目に入り、そこはどの地方のどこにあるのかとても気になっていた。いつ解決したかは覚えていないがそこは桜島線の西九条からひとつめ、ということがわかりいつかこの目で見てみたいと…